労働災害発生・治療中
労働災害発生から解決までの流れ
労働災害発生から解決までの流れをフローチャートとしたものが以下のとおりです。
労働災害発生直後の対応
労働災害が発生した直後は、なによりもまず被災者の人命救助を最優先することになります。
被災者が適切な医療機関で治療を受けることができる機会を確保するとともに、より適切な医療機関を選択することができるか検討することになります。
次に、被災者の被災状況を保全し、労働災害の状況に関する証拠を確保することを行います。被災状況が防犯カメラ等に撮影されているケースもありますので、証拠が散逸しないように留意しなければなりません。
なお、労働災害の場合、交通事故以上に、事故態様を裁判所や第三者に伝えることが容易ではないといえます。
例えば、転落事故の場合、被災者がいつ、どのような場所で、どのような作業をしていたときに発生したのか、ということを、口頭で説明することは容易ではありません。また、被災者が治療を終了し、会社側と示談交渉を行おうとした時点では、すでに工事現場が解体されてしまって現場検証ができないということもあり得ます。
したがって、労働災害が発生した場合には、できる限り被災状況を保全するための措置を講じる必要があります。
治療(症状固定)までの対応
被災者の治療等の機会が確保できた後は、被災者が回復するまでの間、しっかりと療養に努めていただく必要があります。
もっとも、被災者の治療が終了し、症状固定に至るまでの間も、被災者の治療経過や、残存する後遺障害の内容を把握するとともに、証拠化するため、医療記録への証拠保全を意識することが求められます。
特に、被災直後には、レントゲン撮影やMRI、CT検査等の画像所見を収集するようにしていただくことが望ましいといえます。
労災事故から時間が経過した後に症状が悪化し、その段階で画像所見をとったとしても、労災事故と時間が空いてしまったことを理由に、労災事故と画像所見との因果関係が否定されてしまうケースもあります。
労災保険給付の申請
労働災害に遭われた場合、要件を満たすことで労災保険給付による補償を受けることが可能です。
労災保険給付を受けるためには、所定の申請書を労働基準監督署へ提出する必要があります。
なお、会社によっては、労働災害の申請を拒否したりすることもあります。
しかしながら、労災保険給付の申請は、労働者の権利であり、被災者が適切な賠償を得るために必要な手続きです。
また、労災給付を受けることによって、被災者は、治療費や休業損害の補償を受けることができ、安心して治療に専念することが可能となります。
さらに、被災者は、労災保険を申請しなければ、後遺障害等級の認定を受けることができません。
適切な後遺障害等級の認定を受けるためにも、被災者は、労働災害の申請を行う必要があります。