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労災申請の全手順と期間の目安:申請から給付までの流れ

はじめに

「労災の申請をしたいけれど、何から手をつけていいか分からない」
「手続きがすごく複雑で、時間もかかりそう…」

労働災害に遭われた方が、治療と並行して直面するのが、この「労災申請」という大きなハードルです。普段なじみのない行政手続きであるため、漠然とした不安や面倒なイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし、ご安心ください。労災申請は、確かにいくつかのステップを踏む必要がありますが、その基本的な流れを一度理解してしまえば、次に何をすべきかが明確になり、過度に不安になる必要はありません。

この記事では、労働災害が発生した瞬間から、実際にあなたの銀行口座に給付金が振り込まれるまで、その全体像(フロー)をステップごとに分かりやすく解説します。また、それぞれのステップに「どれくらいの時間がかかるのか」という期間の目安もご紹介しますので、今後の見通しを立てるためにお役立てください。

労災申請の全体像(基本フローチャート)

まずは、全体の流れをイメージで掴みましょう。労災申請は、概ね以下のようなフローで進んでいきます。

① 災害発生 → ② 医療機関受診 → ③ 申請書類の準備・提出 → ④ 労働基準監督署による調査 → ⑤ 支給/不支給の決定 → ⑥ 保険給付の支払い

この一つひとつのステップを、これから詳しく見ていきましょう。

【ステップ別】労災申請から給付までの詳細な流れ

ステップ1:労働災害の発生と医療機関の受診

すべての始まりは、業務中または通勤中の災害発生です。前回の記事でも解説した通り、事故に遭ったら、まずは安全を確保し、速やかに医療機関を受診することが最優先です。

このとき、できるだけ「労災保険指定医療機関(労災指定病院)」を選ぶのがポイントです。指定病院であれば、治療費を窓口で支払う必要がなく、その後の手続きもスムーズに進みます。

ステップ2:労災申請書類の作成と提出

治療と並行して、労災保険の給付を受けるための申請書類(請求書)を準備します。

誰が?

申請は、原則として被災した労働者本人、またはそのご家族が行います。会社が代行してくれることもありますが、あくまで本人が申請の主体です。

何の書類を?

請求したい給付の種類によって、使用する様式が異なります。

  • 例1:治療費を請求したい
    → 療養(補償)給付請求書(様式第5号など)
  • 例2:休業補償を受けたい
    → 休業(補償)給付支給請求書(様式第8号など)
書類の入手方法

会社の総務・人事担当部署に依頼するか、厚生労働省のウェブサイトから最新の様式をダウンロードするのが確実です。

作成方法

請求書には、①あなたが記入する欄、②会社に災害の事実を証明してもらう「事業主証明」欄、③医師に傷病の状況などを証明してもらう「医師の証明」欄、があります。それぞれに必要な内容を記入・証明してもらいます。

提出先

【重要】提出先は書類の種類によって異なります。

  • 療養(補償)給付請求書
    → 治療を受けている医療機関(または薬局)の窓口へ提出します。
  • 休業(補償)給付支給請求書など、その他の多くの請求書 → 会社の所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。

ステップ3:労働基準監督署による調査

請求書が労働基準監督署に受理されると、その内容が労災の認定基準を満たしているかどうかの調査が開始されます。

調査の目的

請求された傷病が、本当に「業務上の事由」または「通勤による事由」で発生したものか、客観的な事実に基づいて判断するためです。

調査方法
  • 書面調査
    提出された請求書や診断書の内容を確認します。
  • 追加資料の要求
    必要に応じて、事故に関する報告書や、出退勤の記録などの提出を求められることがあります。
  • 関係者への聞き取り調査(面談)
    災害の状況が複雑な場合や、事実関係が不明瞭な場合には、労働基準監督署の担当官が、被災者本人、会社の担当者、事故の目撃者(同僚など)から、直接話を聞くことがあります。
期間の目安

事案の単純さ・複雑さによって大きく異なります。以下の表は厚生労働省が示す標準的な処理期間です。

給付の種類
日本語名称
審査期間の目安(請求書受理後)
療養(補償)給付 約1か月
休業(補償)給付 約1か月
障害(補償)給付 約3か月
遺族(補償)給付 約4か月
注:上記はあくまで目安です。精神疾患や脳・心臓疾患、腰痛など、業務との関連性の判断が難しい事案では、6か月から1年以上かかることもあります 16

ステップ4:支給または不支給の決定と通知

調査が完了すると、労働基準監督署は労災に当たるかどうかの最終的な判断を下し、その結果が書面であなたに通知されます。

支給決定の場合

「支給決定通知書」というハガキなどが届きます。ここには、支給される金額や支払日などが記載されています。

不支給決定の場合

「不支給決定通知書」が届きます。なぜ支給されないのか、その理由が記載されています。この決定に納得がいかない場合は、不服申立ての手続きを行うことができます。

  • 審査請求
    決定があったことを知った日の翌日から3か月以内に、管轄の労働局にいる労働者災害補償保険審査官に対して行うことができます。
  • 再審査請求
    審査請求の決定にも不服がある場合、その決定書の謄本を受け取った日の翌日から2か月以内に、東京にある労働保険審査会に対して行うことができます。

ステップ5:保険給付の支払い(受給)

支給決定がなされると、いよいよ給付金が支払われます。

  • 支払時期
    支給決定通知書が届いてから、おおむね1週間~1か月以内に、請求書に記載したあなたの指定銀行口座へ振り込まれるのが一般的です。
  • 継続的な給付
    休業(補償)給付や障害(補償)年金など、継続的に受け取る給付については、その後も定期的に(例えば休業補償は1か月ごと、年金は2か月ごとなど)支払いが続きます。 

まとめ

流れを理解し、見通しを持って進めましょう

労災申請の基本的なフローを、もう一度おさらいしましょう。

申請(書類提出) → 労基署の調査(上記表参照) → 支給・不支給の決定 → 支払い(決定から約1か月)

申請から給付金の受け取りまでには、少なくとも数ヶ月単位の時間がかかること、そして事案によっては調査が長引くこともある、という点をあらかじめ理解しておくと、焦らずに落ち着いて結果を待つことができます。

この一連のフローの中で、

「会社が書類に証明(記名)をしてくれない」

「労働基準監督署の調査で、何をどう話せばいいか不安だ」

「不支給決定の通知が届いたが、到底納得できない」

といった問題に直面することは、決して珍しくありません。そのようなときは、すぐに私たち弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。法律と交渉の専門家である弁護士が、あなたに代わって複雑な手続きを進め、労働基準監督署との対応を行い、あなたの正当な権利が実現されるようサポートいたします。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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