労働災害による後遺障害等級認定
労働災害に遭ったために重傷を負い、重度の障害が残った場合には、後遺障害等級が認定される場合があります。
労働災害における後遺障害等級は、身体障害の内容に応じて第1級から第14級までに分類されます。
後遺障害等級認定によるメリット
後遺障害等級が認定されることのメリットは、以下の3つが挙げられます。
労災給付の増額
労働災害における労災給付手続上、後遺障害等級が認定されることによって、障害補償給付(業務災害の場合)・障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。
被災者に対する労災保険給付が増額されることになるため、それだけ被災者の補償は厚くなります。
後遺障害慰謝料の加算
労働災害における後遺障害が認定されることによって、被災者が会社等に対して労働災害に対する損害賠償請求をする際、後遺障害慰謝料を加算請求することが可能となります。
後遺障害逸失利益の加算
また、労働災害における後遺障害等級が認定されることによって、被災者は、後遺障害慰謝料に加えて、逸失利益を請求することも可能となります。
適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント
このように、労働災害において、適切な後遺障害等級認定を受けることは、被災者が労働災害における適正な損害賠償を受けるためにも重要なポイントといえます。
そして、被災者が適切な後遺障害等級認定を受けるためには、労災事故による受傷内容や、後遺障害の内容が、適切に医療記録等に記録されているかどうかが重要といえます。
この点、主治医は、治療の専門家ではあっても、必ずしも後遺障害認定の専門家ではありません。すなわち、主治医が作成する後遺障害診断書は、被災者の後遺障害の内容や等級に関し、必ずしも正確に記載されているとは限らないといえます。
一例を挙げれば、被災者は、労働災害によって手指の可動域が制限されているにもかかわらず、主治医が後遺障害等級の認定実務に詳しくないために、手指の可動域を測定しなかった結果、後遺障害等級が認定されないということが起こり得ます。
労働災害では、後遺障害等級が1級異なっただけで、損害賠償額が数百万円から数千万円まで異なることもあり得ます。
適切な後遺障害等級が認定されることは、被災者やその遺族が適切な損害賠償額を認定されるために必要であり、特に慎重に検討しなければなりません。