労働医療の仕組み
労災医療とは
労災保険制度の目的は、労働災害を被ったことにより失われた傷病労働者の労働能力の回復、填補を図り、これらの傷病労働者を早期に社会復帰させるとともに、さらに労働災害を未然に防止することにあります。
そこで、労災保険においては、労働者が業務災害又は通勤災害により負傷したり、疾病にかかって療養を必要とする場合には、療養補償給付(通勤災害に係る傷病については、「療養給付」として業務災害に係るものと区別していますが、給付の内容は変わりません。)により傷病労働者の傷病をできる限り早く治し、かつ、できる限り後遺症を残さないような治療方法を施し、傷病労働者の早期職場復帰を図る必要があります。
このように療養補償給付によって行われる各種の医療行為を総称して「労災医療」と呼ばれています。
労災保険指定医療機関制度
労災保険では、傷病労働者が労災病院や指定医療機関で療養を受けたときは、その療養に要した費用をこれらの医療機関から直接労働局長に請求できる方法を講じています。
これはちょうど、健康保険法によって定められている保険医療機関制度と同様の制度であり、傷病労動者や医療機関が、この制度を利用することによって前記の不便や不都合を免れるばかりでなく、労災医療という公的な医療制度を統一的に運営していくこともできることになります。
この指定医療機関の制度は、健康保険のような保険医療機関及び保険医という両者の併用方式ではなく、医療機関そのものを指定する制度となっています。
現在労災保険の療養(補償)給付のほぼ全てがこの指定医療機関と労災病院によって行われています。
指定医療機関の取扱う範囲
労災保険指定医療機関は、業務災害・通勤災害による負傷、疾病について、以下の範囲で対応するものとされています。
療養の給付
- 診察
- 薬剤又は治療材料の給付
- 処置、手術その他の治療
- 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
- 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
アフターケア
- 診察
- 保健指導
- 保健のための処置
- 理学療法
- 注射
- 検査
- 精神療法、カウンセリング等
- 保健のための薬剤の支給
外科後処置
- 診察
- 薬剤又は治療材料の給付
- 処置、手術その他の治療
- 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
- 筋電電動義手の装着訓練等