労災保険制度とは
労災保険制度とは、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度をいいます。
労災保険の費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。
労災年金給付等の算定の基礎となる給付基礎日額については、労災保険法第8条の3等の規定に基づき、毎月勤労統計の平均給与額の変動等に応じて、毎年自動的に変更されています。
労災保険の給付内容
療養(補償)給付
労働者が、業務上または通勤が原因で負傷したり、病気にかかって療養を必要としたりする場合に給付されます。
なお、業務災害の場合には「療養補償給付」、通勤災害の場合には「療養給付」といいます。療養補償給付・療養給付には、さらに「療養の給付」と「療養の費用の支給」の2種類があります。
療養の給付
療養の給付は、労災病院や労災保険指定医療機関・薬局等で、無料で治療や薬剤の支給などを受けられます。これを「現物給付」といいます。
療養の費用の支給
療養の費用の支給は、近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用を支給する現金給付です。
給付の対象となる療養の範囲や期間はどちらも同じです。
療養補償給付・療養給付は、治療費、入院料、移送費など通常療養のために必要なものが含まれ、傷病が治癒(症状固定)するまで行われます。
休業(補償)給付
休業(補償)給付は、労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から休業補償給付(業務災害の場合)または休業給付(通勤災害の場合)が支給されます。
休業(補償)給付は、①業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため、②労働することができないため、③賃金を受けていない、という3要件を満たす場合に、その第4日目から、休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されます。
なお、支給額は以下のとおりです。
休業(補償)給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数 |
傷病(補償)給付
療養開始後1年6カ月を経過しても治癒せず、傷病等級(第1級~第3級)に該当するとき、給付基礎日額の313日~245日分の年金が支給されます。
障害(補償)年金
業務または通勤が原因となった負傷や疾病が治ったとき、身体に一定の障害が残った場合には、障害補償給付(業務災害の場合)または障害給付(通勤災害の場合)が支給されます。
第1等級~第7等級の場合は給付基礎日額の313日~131日分の障害(補償)年金、第8級~第14級の場合は給付基礎日額の503日~56日分の障害(補償)一時金が支給されます。
遺族(補償)年金
業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、遺族補償給付(業務災害の場合)または遺族給付(通勤災害の堀合)が支給されます。
遺族(補償)給付には、遺族(補償)年金と遺族(補償)一時金の2種類があります。
年金は、労働者の死亡当時期の収入によって、生計を維持していた一定の範囲の遺族に支給されます。
一時金は、その年金受給権者がいない場合に一定の範囲の遺族に対して給付基礎日額の1000日分が支給されます。
葬祭料(葬祭給付)
葬祭を行った遺族などに対して、葬祭料(業務災害の場合)または葬祭給付(通勤災害の場合)が支給されます。
介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給者のうち、障害等級・傷病等級が第1級の方(すべて)と第2級の「精神神経・胸腹部臓器の障害」を有している方が、現に介護を受けている場合、介護補償給付(業務災害の場合)または介護給付(通勤災害の場合)が支給されます。