労災認定の再審査請求
労災認定の結果に納得できない場合
労働災害の申請をしたのに、労働基準監督署が労災保険給付を認めなかった、労災保険給付の支給内容が納得できない、支給が打ち切られてしまうといった状況に不服がある場合には、不服申し立て手続きを行います。
労災申請の結果に不服がある場合、以下の3つの対処法があります。
審査請求
審査請求とは、労災申請に関する決定に不服がある場合に、労働災害の当事者または遺族が、労災申請の決定を行った労働基準監督署長を管轄する都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官に対して、審査をやり直してもらうための手続きです。
請求できる期間・結論が出るまでの期間
審査請求は、労働災害の認定などの決定を知った日の翌日から3か月以内に行う必要があります。
審査請求を受けると、担当の審査官は、請求人に対して聴き取りを行うほか、労働基準監督署からの意見を聞き、独自に資料を収集する等して検討を行い、判断をします。
そのため、審査請求をしてから結論が出るまでにはかなりの期間を要し、3ヶ月以内に結論が出るのは稀です。
よい結果を得るには
審査官は、国が定める基準で判断するため、労働災害の認定に関する新たな証拠が発見されるなどがない限り、労働基準監督署の判断が覆される可能性は低いといえます。
労働災害の認定結果に不服があるからといって、やみくもに審査請求するだけでは、良い結果は期待できません。
なぜ認定結果が間違っているのか、証拠や資料をできるだけ用意し、筋道を立てて主張を述べて審査請求を行うことが必要となります。
この審査請求が審査官によって棄却された場合には、下記の再審査請求を行うことになります。
再審査請求
上記で述べたとおり、審査請求はかなりの期間を要し、3ヶ月以内に結論が出ることは稀です。
そのため、審査請求をした日から3ヶ月を経過しても審査官の決定がない場合には、「審査官が審査請求を棄却した」とみなし、再審査請求または取消訴訟を行うことができます。
請求できる期間・結論が出るまでの期間
再審査請求は、審査請求について審査官が作成した決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に行う必要があります。
再審査請求において、審査会の判断がなされるまで、半年から1年程度の期間がかかります。
よい結果を得るには
再審査請求は、労働保険審査会に対して文書によって行い、原則として3名で構成された委員によって判断されます。委員に対し口頭で意見を伝える手続きもあるため、自身の主張をしっかりと述べられるようにしておく必要があります。
再審査請求に対する審査会の審査や判断基準は、審査請求の際に審査官が行う場合と同様、国が定める基準で判断されます。労働災害の認定に関する新たな証拠が発見されるなどがない限り、労働基準監督署の判断が覆される可能性は低いといえます。
取消訴訟
審査請求や再審査請求にに不服がある場合や、審査官の決定がないまま3ヶ月を経過した場合には、裁判所に労働基準監督署長の決定を取り消すように求める「取消訴訟」を起こすことができます。
請求できる期間・結論が出るまでの期間
取消訴訟は、審査官による審査請求に対する決定、審査会による再審査請求の採決から6ヶ月以内に行う必要があります。
取消訴訟は、裁判所の基準により判断が行われます。そのため、国の基準を満たしていない場合でも労働災害の認定が認められる可能性がありますが、一方で、国を相手とする訴訟のため、長期間にわたる場合があります。
より良い結果を得るためには、弁護士にご相談下さい
審査請求、再審査請求、取消訴訟は、いずれも労働基準監督署の決定を覆そうとするもののため、漠然と請求するだけでは良い結果を得られる可能性は低くなります。
また、審査請求・再審査請求・取消訴訟は原処分を受けてから数ヶ月以内という期間制限があり、これを過ぎてしまうと、不服を申し立てること自体できません。
しかし、期間制限に焦り、証拠を十分に集めないまま主張をすれば、請求が棄却されてしまう可能性が高くなります。
より良い結果を得るためには、①請求に対する処分が下された理由をよく把握し、②自分の主張を裏付ける有力な証拠をできるだけ収集し、③なぜ請求に対する処分が間違っているのかを筋道を立てて主張することが必要不可欠です。
弁護士は、実務において常に証拠を集め、筋道を立てて主張する業務を行なっており、交渉・裁判のエキスパートです。審査請求、再審査請求、取消訴訟の手続きを行う場合には、迅速な対応が可能です。
労働災害の認定に不服がある方は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
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