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労災における死亡事故:認定から損害賠償請求まで解説

はじめに

労災事故で大切な家族を失った場合、その悲しみや痛みは計り知れません。しかし、遺族としては、その苦しみを少しでも和らげるために、正当な補償を受け取ることが重要です。労災事故での死亡に対しては、労災保険の給付だけでなく、会社に対する損害賠償請求も可能です。本稿では、労災事故による死亡事故が発生した場合の慰謝料や損害賠償の相場、労災保険との関係、損害賠償請求の具体的な方法について解説します。また、弁護士に相談するメリットについても説明しますので、今後の手続きの参考にしてください。

Q&A

Q1: 労災事故で死亡した場合、遺族が受け取れる補償はどのようなものですか? 

A1: 労災事故で死亡した場合、遺族は労災保険からの給付と会社に対する損害賠償の両方を受け取ることができます。労災保険では、遺族給付金や葬儀費用が支給されますが、死亡慰謝料や死亡逸失利益など、全ての損害をカバーすることはできません。そのため、会社に対して不足分を損害賠償請求する必要があります。

Q2: 死亡慰謝料の相場はどのくらいですか? 

A2: 死亡慰謝料の相場は、亡くなった方が家庭内で果たしていた役割に応じて異なります。一般的には2000万円から2800万円の範囲で、例えば一家の大黒柱であった場合は2800万円が目安とされています。これに加えて、死亡逸失利益や葬儀費用なども損害賠償として請求できます。

Q3: 労災保険の給付では全額カバーできないのですか? 

A3: 労災保険の給付だけでは全ての損害をカバーすることはできません。特に死亡慰謝料については労災保険の給付対象外です。また、死亡逸失利益についても、労災保険の遺族年金が支給されるものの、遺族の続柄や年齢などによって支給額が制限されるため、十分な補償を受け取れない可能性があります。

Q4: 慰謝料や損害賠償を請求する際の注意点は何ですか? 

A4: 慰謝料や損害賠償を請求する際には、会社の責任を明確にするための証拠が重要です。また、労災保険と会社に対する損害賠償請求は別々に進める必要があり、それぞれの手続きに適した準備を行うことが求められます。特に会社に対する請求では、証拠を基にして会社の過失や安全配慮義務違反を立証する必要があります。

労災事故で死亡した場合の慰謝料・損害賠償金の相場

労災事故で死亡した場合、遺族が受け取れる慰謝料の相場は、被害者が家庭内で果たしていた役割によって異なります。具体的には、死亡慰謝料は2000万円から2800万円程度が一般的な相場です。例えば、一家の大黒柱であった場合、2800万円が目安とされています。この金額は、被災者の家族が受けた精神的苦痛に対する補償であり、家庭の中での立場や社会的な役割によって変動します。

また、死亡慰謝料に加えて、死亡逸失利益や葬儀費用も損害賠償金として請求することが可能です。死亡逸失利益とは、もし事故がなければ将来得られたであろう収入のことを指し、その計算方法は非常に複雑です。逸失利益の算定では、亡くなった方の年収、生活費控除率、就労可能年数などが考慮されます。具体的な計算式は以下の通りです。

死亡逸失利益の計算式
死亡前の年収 × (100 – 生活費控除率)% × 就労可能年数に対応する中間利息控除

例えば、年収500万円の一家の大黒柱が労災事故で亡くなった場合、生活費控除率を35%とし、就労可能年数を27年とした場合の計算例は以下の通りです。

死亡逸失利益の計算例
500万円×65% × 18.3270 ≒ 5,956万円

この金額に、死亡慰謝料や葬儀費用を加えた総額が損害賠償金となります。

慰謝料の請求方法と流れ

労災事故での死亡慰謝料や損害賠償金を会社に請求する場合、以下のような流れで手続きを進めます。

労災保険の申請と損害額の計算

まず、労災事故が発生したことを労働基準監督署に申請し、労災保険の給付を受けます。次に、損害額を計算し、会社に対して請求する金額を決定します。計算には専門的な知識が必要となるため、弁護士の協力が不可欠です。

会社の損害賠償責任の立証

会社に対して慰謝料や損害賠償金を請求するためには、会社が事故に対して責任を負っていることを証明する必要があります。これは、労災保険の給付とは異なり、会社の安全配慮義務違反や使用者責任を追及するものです。具体的には、労働契約法第5条や民法第715条に基づいて請求を行います。

会社に対する請求

損害賠償の請求書を会社に提出し、話し合いを通じて和解を目指します。この段階では、会社と遺族の間で金額に関する意見の相違が生じることが多く、交渉が難航することもあります。そのため、弁護士が代理人として交渉を進めることで、適正な金額を得ることが期待できます。

労働審判や損害賠償訴訟

話し合いで解決しない場合は、労働審判や訴訟を通じて解決を図ります。裁判所での手続きとなるため、法的な知識が必要であり、弁護士に依頼することが重要です。弁護士は、必要な証拠を基にして、遺族の権利を守るための主張を行います。

労災保険と会社に対する損害賠償請求の違い

労災保険は、労働基準監督署が業務起因性や業務遂行性に基づいて事故を認定し、一定の給付金を支払う制度です。この制度では、事故について会社の責任が問われることはなく、労働者に過失があった場合でも給付が行われます。しかし、労災保険による給付は、あくまで基本的な補償であり、全ての損害をカバーするものではありません。

一方で、会社に対する損害賠償請求では、会社の過失や責任を追及し、不足分を補うための補償を求めます。例えば、死亡慰謝料や逸失利益の不足分、労災保険ではカバーされない損害については、会社に対して請求することが必要です。この場合、損害賠償請求は法律に基づいて行われるため、法的な根拠や証拠をしっかりと準備することが重要です。

慰謝料請求の際の注意点と証拠集めの重要性

慰謝料や損害賠償を請求する際には、遺族が適正な金額を受け取るための準備が必要です。特に、労災事故が発生した直後から、証拠集めを迅速に行うことが求められます。証拠が不足していると、会社側が責任を認めず、慰謝料や損害賠償が減額される可能性があります。

証拠として重要な資料の例
  • 労働基準監督署が作成する事故の調査復命書
  • 警察が作成する事故の実況見分調書
  • 労働時間を示すタイムカードや出勤簿
  • 同僚や目撃者の証言
  • 被害者が残した日記やメモ

これらの証拠を基に、会社の過失を立証し、適正な慰謝料や損害賠償を請求します。

弁護士に相談するメリット

労災事故による死亡慰謝料や損害賠償の請求は、非常に専門的で複雑な手続きです。そのため、弁護士に相談することには多くのメリットがあります。

  • 適正な慰謝料を請求できる: 弁護士は、法律の専門知識を持ち、慰謝料の相場を熟知しています。そのため、被害者の権利を守るために、適正な金額での請求が可能です。
  • 事故発生直後からのサポート: 弁護士に依頼することで、事故発生直後から証拠集めや会社との対応を任せることができます。これにより、遺族は精神的な負担を軽減しながら、手続きを進めることができます。
  • 示談交渉の代理: 弁護士が代理人として会社との示談交渉を行います。これにより、遺族が直接会社と対峙することなく、スムーズに交渉が進められます。
  • 裁判での代理人: 交渉が不調に終わり、裁判に進展する場合も、弁護士が代理人として法的主張を行います。裁判所での手続きは法律に基づくため、弁護士のサポートが不可欠です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災事故に関する豊富な経験を持つ弁護士が、遺族の皆様を全力でサポートします。労災事故による損害賠償請求についてお困りの方は、ぜひご相談ください。

労災保険の給付と見舞金・弔慰金の関係

労災保険の給付とは別に、会社から見舞金や弔慰金が支払われることがあります。見舞金や弔慰金は、就業規則に基づくものや、会社の判断によって支払われるものがあり、その金額は様々です。特に、個別に支払われる見舞金や弔慰金は、会社にとって前払い的性格を持つため、注意が必要です。

見舞金や弔慰金を受け取る際には、その金額が最終的に受け取る損害賠償金から減額される可能性があるため、慎重に対応することが求められます。

まとめ

労災事故で大切な家族を失った遺族にとって、適正な慰謝料や損害賠償を受け取ることは、今後の生活を守るために非常に重要です。労災保険の給付だけでは不十分な場合、会社に対して損害賠償請求を行う必要があります。しかし、この手続きは専門的で複雑なため、早期に弁護士に相談し、適切な対応を行うことが求められます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災事故に関する豊富な経験と知識を持つ弁護士が、遺族の方々を全力でサポートします。適正な慰謝料や損害賠償を受け取るために、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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