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労災保険の補償内容と手続きについて

はじめに

労働災害(労災)に遭遇した場合、その補償内容や手続きについてよく理解しておくことが大切です。しかし、労災保険制度は複雑で、どのような補償を受けられるのか、また、手続きの流れがどのようなものかを把握するのは簡単ではありません。

ここでは、労災の補償内容、補償額、そしてその手続きについて解説していきます。労災に関してお困りの方にとってご参考となれば幸いです。

Q&A形式で労災について解説

Q1. 労災とは何ですか?

労災とは、業務中や通勤中に発生したけがや病気、障害、死亡などを指します。これらは労働災害と呼ばれ、業務災害と通勤災害に大別されます。

  • 業務災害:仕事をしている最中に起きたけがや病気、障害、死亡
  • 通勤災害:通勤途中や帰宅途中でのけがや病気、障害、死亡

Q2. 労災保険とはどのような制度ですか?

労災保険は、労働者が業務や通勤に関連する災害で被ったけがや病気、障害、死亡に対して、医療費や休業補償、障害補償などの給付を行う公的な保険制度です。これは、従業員の生活を守る重要な制度であり、すべての事業主に対して加入義務があります。

労災の補償内容とその金額

労災により発生した被害は、以下の補償給付により対応されます。各補償内容とその具体的な給付額について確認しましょう。

1. 療養補償給付

療養補償給付は、労働災害により発生したけがや病気に対する治療費の支払いを行います。労災病院や指定医療機関で治療を受けた場合には、窓口での支払いが不要となる「療養の給付」が適用され、それ以外の医療機関での治療は一時的に自己負担をした後に支給される「療養の費用の支給」が適用されます。

  • 補償額:治療が完了するまで上限なく支給されます。

2. 休業補償給付・休業特別支給金

業務や通勤中のけがや病気により仕事を休んだ場合、休業補償給付が支給されます。休業初日から3日間は会社が負担し、4日目以降については労災保険から支給されます。

  • 補償額:休業初日から4日目以降は、給付基礎日額の60%が休業補償給付として支給され、加えて20%が休業特別支給金として支給されます。

3. 障害補償給付

治療後も障害が残った場合、その等級に応じて障害補償年金または障害一時金が支給されます。

  • 補償額:障害等級1級~7級は年金形式、8級~14級は一時金として支給されます。

4. 遺族補償給付

被災労働者が死亡した場合、遺族に対して遺族補償年金または遺族補償一時金が支給されます。

  • 補償額:遺族の人数や関係性に応じて、給付基礎日額の153日~245日分が年金として支給されます。

5. 葬祭料

被災労働者の死亡に伴う葬儀費用として支給される給付です。

  • 補償額:31万5千円に加えて給付基礎日額の30日分、または給付基礎日額の60日分(高い方が適用されます)。

6. 介護補償給付

障害補償年金または傷病補償年金を受ける労働者が、常時または随時介護を要する場合に支給されます。

  • 補償額:常時介護の場合は月額最大16万5,150円、随時介護の場合は最大8万2,580円まで支給されます。

労災保険の手続きの流れ

  1. 医療機関を受診する
    労災事故発生後、すぐに医療機関を受診し、労災であることを伝えましょう。
  2. 労災保険給付の申請書類を準備する
    受診後、療養給付や休業補償給付の申請を行うために必要な書類を準備します。
  3. 労働基準監督署に書類を提出する
    必要な書類を揃えたら、事業所を管轄する労働基準監督署に提出します。
  4. 給付決定通知を受け取り、補償を受ける
    書類審査が終わり、給付決定通知を受け取ると、労災保険からの補償が開始されます。

弁護士に相談するメリット

労災保険の手続きや補償内容は複雑で、被災者が一人で行うのは負担が少なくありません。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災に関する専門的な知識と経験を持った弁護士がサポートを提供します。

  1. 労災認定のサポート
    労災が適用されるか否かの判断や、証拠の収集などの支援を行います。
  2. 適切な補償額の確保
    複雑な補償額の計算を行い、被災者が受けるべき正当な補償を確保します。
  3. 手続き代行
    面倒な書類作成や提出などの手続きを代行し、被災者の負担を軽減します。
  4. 会社との交渉
    労災事故の原因や責任を巡って会社と争いが生じた際の対応をサポートします。

まとめ

労災保険は、労働者の安全と生活を守るための重要な制度です。しかし、その補償内容や手続きは複雑で、理解することが難しい場合もあります。万が一、労災に遭遇した際には、早めに弁護士に相談し、適切なサポートを受けることもご検討ください。

労災についてさらに詳しく知りたい方や、個別のご相談をご希望の方は、弁護士法人長瀬総合法律事務所までお問い合わせください。

 

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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