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過労死事案の事例紹介

はじめに

「会社の長時間労働指示が原因で家族を失った」「上司のパワハラを耐えかねて子供が自殺してしまった」――過労死・過労自殺の遺族が、会社の責任を追及する裁判は後を絶ちません。実際の過労死裁判では、長時間労働の実態やハラスメントの有無会社の安全配慮義務をめぐって激しい争いが繰り広げられ、高額な賠償命令が下る例も少なくありません。

日本の司法は、長時間労働の常態化やハラスメントを放置した企業に対して、安全配慮義務違反を認定し、数千万円〜1億円を超える賠償を命じた判決を出すことがあります。こうした過労死裁判の判例は、過労問題を抱える企業や労働者にとって大きな警鐘であり、働き方の見直しや適切な労働時間管理の必要性を突きつける重要な資料となります。

本稿では、過労死裁判でどのように会社の責任が問われ、どのような賠償が認められてきたのか、具体的な判例や事例を交えながら解説します。どんな証拠が有効か、企業がどこまで責任を負うか、遺族がどうやって労災保険や損害賠償を得られるのかなど、実際の裁判例から学べるポイントをまとめました。

Q&A

はじめに、過労死裁判と判例に関する代表的な疑問(Q)と回答(A)を簡潔にまとめます。詳細は「3 解説」で取り上げます。

Q1. 過労死裁判では、会社がどんな理由で賠償責任を負うの?

主に安全配慮義務違反が根拠です。長時間労働を放置、ハラスメントを黙認し、従業員が脳・心臓疾患や精神疾患で死亡した場合、企業が高額な損害賠償を命じられることがあります。

Q2. どれくらいの賠償金が認められる事例が多い?

ケースによりますが、数千万円〜1億円超の賠償が命じられる例も珍しくありません。死亡した従業員の逸失利益や遺族の慰謝料などが大きく影響します。

Q3. 裁判で企業の責任が認められる決め手は何ですか?

長時間労働(過労死ライン超)やハラスメントの実態が客観的に示される証拠(勤怠記録、録音、メールなど)が重要な決め手となります。会社の対応(産業医面談の実施など)が不十分だと責任が認められやすいです。

Q4. 労災保険で遺族が補償を受けても、さらに裁判で賠償請求する意味は?

労災保険の遺族補償給付だけでは、精神的損害や高額な逸失利益を十分にカバーしきれないことが多いため、安全配慮義務違反を主張して損害賠償を上乗せで得る遺族が多数います。

Q5. 実際の判例はどんな証拠をもとに会社の責任を認めたの?

典型的には、タイムカードやPCログによる異常な残業時間の証明、上司のハラスメント録音やメール、産業医の未実施や健康診断結果の放置などが挙げられます。これらが裁判で「強い心理的負荷」や「安全管理不備」を示す証拠として採用される場合が多いです。

解説

ここでは、過労死裁判の代表例や判例の特徴を概観し、過労死・過労自殺で企業の安全配慮義務がどのように認定されるか、どのような賠償金が命じられたかを取り上げます。労災保険と損害賠償の位置づけなどにも触れます。

過労死裁判の意義と流れ

意義
  • 過重労働ハラスメントが原因で従業員が死亡した遺族が、会社の安全配慮義務違反を追及するために起こす裁判。
  • 遺族が会社に対し、逸失利益や慰謝料などを請求し、会社が責任を認めなければ長期の法廷闘争となることもある。
流れ
  1. 遺族が労災保険申請(業務上の死亡と認められれば遺族補償給付支給)
  2. 会社との示談交渉(安全配慮義務違反を巡る賠償)
  3. 示談不成立なら民事裁判
  4. 法院が会社の責任有無と賠償額を判決で決定

判例に見る認定の決め手

長時間労働の実態証拠
  • タイムカードや入退室記録、PCログが明確に残っていると「過労死ライン(1か月100時間超など)」の超過を立証しやすい。
  • 会社が勤怠改ざんしていた場合も、複数の記録を突合すれば偽装が発覚し、裁判で企業の責任が加重される。
ハラスメント録音・メール
  • パワハラ・セクハラなどによる人格否定的言動が録音やメールで残っていれば、強い心理的負荷を立証する大きな武器。
  • 言い逃れできない証拠として裁判所の心証に大きな影響を与える。
医師の診断・産業医の面談不実施
  • 精神科・心療内科の診断書で「業務上のストレスが主要原因」と診断された場合、業務起因性を推定しやすい。
  • 会社が産業医面談を実施していなかったり、実施しても改善措置を取っていない事実は、安全配慮義務違反として厳しく評価される。

労災保険と民事賠償の関係

労災保険が優先適用
  • 業務上の死として認定されれば、遺族は遺族補償給付葬祭料など、労災保険の給付が支給される。
  • しかし、慰謝料や大きな逸失利益は労災保険で十分に補償されないため、遺族が会社への損害賠償請求を行うケースが多い。
二重取りの問題
  • 遺族補償給付損害賠償は基本的に相殺対象ではなく、労災保険と会社の賠償を併給できる例が多い。
  • ただし一部調整ルールがあるため、具体的には裁判や示談で詳細を検討。

企業と労働者への教訓

企業にとって
  • 長時間労働ハラスメントを放置すれば、安全配慮義務違反として数千万〜数億円単位の賠償に発展する深刻リスク。
  • 勤怠管理システム産業医面談メンタルヘルス対策を形だけでなく実質的に行うことで、防げるトラブルは大きい。
労働者にとって
  • 万が一過労死・過労自殺が起きた場合、遺族は労災保険の遺族補償を受けるとともに、会社への損害賠償請求を検討できる。
  • 法的に争う際は、残業時間の実態やハラスメント証拠を早めに確保しておくことが勝敗を左右する。

弁護士に相談するメリット

  1. 裁判例の知見を活かした戦略立案
    弁護士は多くの過労死裁判の判例を研究し、会社の過失を立証する論点(労働時間管理の不備、ハラスメント対応の欠如など)を把握しているため、有利な主張を組み立てやすい。
  2. 証拠収集と専門家連携
    弁護士が会社に対して証拠開示請求を行い、産業医や精神科医の意見を取り付けるなど、複雑な医療・労働問題にも専門家ネットワークを活用して対応可能。
  3. 訴訟だけでなく示談交渉もサポート
    会社が過失を認める場合、示談で数千万円〜の解決金を獲得し、長期裁判を回避する道がある。弁護士が交渉を主導すると、遺族の精神的負担が軽減。
  4. 不服申立や労災保険申請の代理
    労災保険が不支給の場合、審査請求・再審査請求に必要な書類作成や証拠補完を弁護士が行い、認定を勝ち取る例も少なくない。
  5. 企業リスクマネジメント
    企業側から依頼される場合、過労死裁判の教訓を踏まえた勤怠管理・ハラスメント対策の整備を提案し、将来的な訴訟リスクを抑える予防法務を行う。

まとめ

過労死裁判は、会社が長時間労働ハラスメントを放置した責任を追及する場であり、会社が安全配慮義務違反として数千万〜1億円超の高額賠償を命じられる例も想定されます。

  • 裁判の決め手となるのは、勤怠記録(PCログ・タイムカード)やハラスメントの録音など「強い心理的負荷」を客観的に示す証拠。
  • 労災保険で遺族補償給付を受けながら、会社には民事的責任を追及し、慰謝料や逸失利益を上乗せで得る仕組みが一般的に活用される。
  • 過労死の背景には、企業の労働時間管理メンタルヘルス対策の欠如があり、働き方改革関連法が施行されても違反企業は後を絶たない。裁判のリスクは高まる一方である。

過労死裁判の判例を振り返ると、長時間労働の実態ハラスメントの記録をしっかり残していれば、遺族が業務起因性を認めさせる可能性はあります。もし周囲で疑いがある場合、弁護士などに早期に相談し、労災保険損害賠償請求を含めて包括的に対処することが重要です。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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