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労災の症状固定とは?補償内容や手続きのポイントを解説

はじめに 

労災による怪我や病気が治療を続けても改善しない状態に達したとき、「症状固定」という状態が訪れます。しかし、この「症状固定」とは具体的にどのような意味を持つのでしょうか。また、症状固定後に受けられる補償や手続きについて、どのように対処すれば良いのか不安に思われる方も多いことでしょう。この記事では、労災の症状固定に関する基本的な知識を、Q&A形式で解説します。労災に関する手続きや補償について理解を深め、適切な対応を取るためのご参考となれば幸いです。

Q1: 労災の症状固定とは何ですか?

A1: 労災の症状固定とは、労災によって負った怪我や病気の症状が、治療を続けてもこれ以上改善が見込めない状態になることを指します。「後遺症が残った状態」と言ってもよいかもしれません。

症状固定に至ると、それ以上の医学的治療は効果がなく、症状の改善が期待できないと判断されるため、労災保険の給付内容に変更が生じます。この段階からは、治療を支えるための給付ではなく、後遺障害の程度に応じた障害補償給付が行われるようになります。

症状固定の重要性

労災における症状固定が重要視されるのは、症状固定の時点を基準として労災保険の給付内容が大きく変わるためです。症状固定前は、治療を継続するための療養給付や、休業に対する休業補償給付が支給されますが、症状固定後はこれらの給付が停止され、後遺障害の認定に基づく障害補償給付が行われます。症状固定は、労災事故の被害者にとって、治療から後遺症との共存へと生活の局面が移行する大きな転換点となります。

Q2: 症状固定の判断は誰が行うのですか?

A2: 症状固定の判断は、主治医による医学的な評価に基づいて行われます。これは、怪我や病気の治療が継続されても、症状がそれ以上改善しないと医学的に判断された時点で下されます。症状固定の時期は、労災事故の被害者ごとに異なり、受傷から短期間で症状固定に至る場合もあれば、長期にわたる治療の末に症状固定と判断される場合もあります。症状固定が早期に判断されるケースでは、治療が終了してしまうため、被害者にとっては大きな転機となります。

症状固定の時期に関する注意点

症状固定の時期は、労災保険の給付内容や、後遺障害の認定に影響を与えるため非常に重要です。症状固定が早すぎると感じられる場合や、治療の継続が必要と考えられる場合は、セカンドオピニオンを求めることも検討すべきです。主治医の判断に疑問がある場合は、他の医師に診てもらい、症状固定の時期について再確認することが大切です。

Q3: 症状固定後の労災保険からの補償はどう変わりますか?

A3: 症状固定前は、治療費や休業補償給付を中心とした補償が行われます。具体的には、療養(補償)給付として治療費が支給され、休業(補償)給付として休業中の賃金の一部が補償されます。しかし、症状固定が認定された後は、これらの給付が停止される一方で、後遺障害の程度に応じた障害(補償)給付が支給されるようになります。

障害(補償)給付の内容

障害補償給付は、後遺障害等級に基づいて支給されます。等級は1級から14級まであり、1級から7級までの場合は年金として、8級から14級までは一時金として支給されます。障害の程度が重いほど、受け取る金額も大きくなります。例えば、1級に該当する後遺障害の場合、生活に著しい支障が生じるため、年金として高額の給付が支給されます。

労災保険以外の補償について

労災保険の給付は法令に基づいて算定されるため、被害者が被った損害を全て補償するものではありません。そのため、症状固定後に発生する休業損害や後遺障害慰謝料などの不足分については、会社に対して損害賠償を請求することが考えられます。この場合、会社に安全配慮義務違反が認められることが条件となり、会社の責任を立証する必要があります。

Q4: 症状固定によって生じるデメリットはありますか?

A4: 労災で症状固定が認定されると、治療が終了し、労災保険の給付内容が変わるため、雇用や賠償に影響が出ることがあります。具体的には、労働基準法に基づく解雇制限が解除され、解雇される可能性が生じることがあります。症状固定後の30日が経過すると、会社は従業員を解雇できるようになるため、場合によっては職場を離れることになるかもしれません。

解雇のリスクについて

症状固定後に解雇される可能性はありますが、それが自動的に解雇を意味するわけではありません。解雇が実際に行われるかどうかは、従業員が引き続き就労可能かどうかによって判断されます。つまり、後遺障害が軽度であれば、勤務を継続することも可能です。一方で、重度の後遺障害が残った場合、代替業務が見つからない場合は、退職を余儀なくされることもあります。

通勤災害の場合の注意点

業務災害に対しては、労災保険からの給付や解雇制限が適用されますが、通勤災害の場合には適用されないことがあります。通勤災害で症状固定が認定された場合、解雇のリスクが高まる可能性がありますので注意が必要です。

Q5: 症状固定後に必要な手続きは何ですか?

A5: 症状固定後には、後遺障害の等級認定を受けるための手続きを進める必要があります。この手続きには、主治医から症状固定の診断を受けること、必要書類をそろえること、そして管轄の労働基準監督署に申請を行うことが含まれます。

手続きの詳細

まず、主治医から「症状固定」の診断を受けることが最初のステップです。この診断がなければ、後遺障害の等級認定を受けることはできません。その後、障害補償給付の申請には、障害補償給付支給請求書(業務災害の場合)や障害給付支給請求書(通勤災害の場合)といった所定の書式を使用し、必要書類を整えて申請を行います。

後遺障害等級の認定

労働基準監督署に申請が受理されると、後遺障害の等級が調査されます。この調査には、提出された書類の審査や、調査官との面談が含まれます。調査結果が出たら、等級に応じた給付が受けられるようになりますが、等級が低く見積もられる場合もあるため、その際は異議申し立てを行うことも可能です。

Q6: 労災で症状固定後のリハビリはどうなりますか?

A6: 症状固定後は、労災保険からの療養給付が停止されますが、ご自身の健康保険を利用してリハビリを続けることが可能です。症状固定によって治療は終了とされますが、リハビリを通じて症状の軽減や体力の回復を目指すことは重要です。健康保険を活用し、適切なリハビリプログラムを続けていくことで、生活の質を向上させることができるでしょう。

再発の場合の対応

症状固定後に症状が再発することも考えられます。この場合、再発認定の申請を行い、治療を再開して症状の改善が見込まれると判断された場合には、再び療養給付や休業給付を受けることができます。ただし、この手続きには再度の診断や申請が必要となりますので、注意が必要です。

弁護士に相談するメリット

労災で症状固定となった後、後遺障害の認定や適切な補償を受けるための手続きには、法的な知識が求められます。こうした専門的な対応を確実に進めるためには、労災問題に精通した弁護士のサポートを受けることが有効です。

弁護士の役割

弁護士は、症状固定後の手続きや後遺障害等級の認定に関するアドバイスを提供するだけでなく、会社との損害賠償交渉や法的対応を代行することができます。また、労災保険では補償されない損害の賠償を求める場合にも、弁護士の力を借りることで、適切な補償を得るための道筋を立てることが可能です。

弁護士に相談する具体的なメリット 

  1. 専門的な知識の提供: 労災法や後遺障害認定に関する深い知識を持つ弁護士が、最適なアドバイスを提供します。
  2. 煩雑な手続きの代行: 複雑な手続きや書類の準備を代行し、申請がスムーズに進むようサポートします。
  3. 交渉力の強化: 会社との損害賠償交渉をプロフェッショナルに任せることで、適切な補償を確保することができます。
  4. 精神的な負担の軽減: 専門家に任せることで、自分自身が治療やリハビリに専念することができ、精神的な負担が軽減されます。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災問題を多く取り扱ってきた経験豊富な弁護士が在籍しており、全国対応が可能です。電話相談やオンライン相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

労災の症状固定は、治療の終わりと後遺症との共存の始まりを意味します。症状固定後には、労災保険からの給付内容が変わり、後遺障害の等級に応じた補償が受けられます。しかし、労災保険がすべての損害を補償するわけではないため、追加の損害賠償を会社に請求することも考えられます。こうした複雑な手続きや交渉を確実に進めるためには、労災問題に強い弁護士のサポートが有効です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災に関する相談を受け付けておりますので、困難な状況に直面した際は、ぜひご相談ください。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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