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労災かくしのリスクと対処方法について

労災かくしのリスクと対処方法について

【Q&A】労災かくしとは?どのような事例が該当しますか?

Q1: 下請け会社の労災事故を報告していない場合、これは労災かくしに該当しますか?

A1: 労災事故を報告しなかった場合、労災かくしに該当する可能性が高いといえます。たとえ見舞金の支払いなどが行われたとしても、労働基準監督署への報告義務を果たしていなければ、法令違反となる可能性があります。

Q2: 労災かくしを行うことにより、企業はどのようなリスクを負うのでしょうか?

A2: 労災かくしを行うと、企業は刑事責任や罰金(50万円以下)を負う可能性があります。また、行政上の指導や監督を受けるだけでなく、風評リスクにもさらされ、企業の信頼が損なわれることもあります。これにより、取引先や顧客の信頼を失い、将来的な契約機会を失う恐れもあります。

Q3: 労災かくしによる労働者への影響は?

A3: 労災かくしが行われると、労災保険を通じた補償を受けられないことがあります。そのため、労働者は治療費や休業中の収入を自ら負担しなければならなくなり、経済的な負担が大きくなります。さらに、労災かくしが発覚することで、職場全体の労働意欲が低下し、職場環境が悪化することも考えられます。

労働災害・労災かくしとは?

労働災害とは、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」とされています(労働安全衛生法第2条第1号)。労働災害は、業務に起因するものであればすべてが該当します。

労災かくしとは、労働災害が発生した際に、事業者が労働基準監督署に「労働者死傷病報告書」を提出しない、または虚偽の内容で報告することです。これに該当する場合、事業者は法的に50万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働安全衛生法第120条第5号)。

元請・下請業者と労災かくし

建設業界や請負契約が絡む業種では、労災かくしが特に問題視されています。下請業者が事故を隠蔽しようとする主な理由としては、以下が挙げられます。

  1. 元請業者への迷惑を避けるため:下請業者は、元請業者に知られることを避け、評価を落とさないために報告を行わないことがあります。
  2. 行政処分を恐れる:元請業者が労基署から調査を受けることを恐れて、事故の報告を行わないケース。
  3. 次回の受注を確保したいため:労災事故が発生したことが発注者に知られると、公共工事などの入札で不利になることを恐れて隠蔽することがあります。

労災かくしによる労働者への影響

労災かくしが行われると、労働者は本来受けられるべき労災保険による保障を受けられません。これにより、治療費や休業中の生活費を自己負担しなければならず、経済的負担が増加します。また、労災かくしが発覚すると、当該労働者のみならず、職場全体の労働意欲が低下することが多く、職場環境が悪化します。

労災かくしがもたらす企業のリスク

労災かくしが発覚した場合、企業は刑事責任を負うだけでなく、社会的信用も失墜します。労働基準監督署による監査や処分が行われると、報道機関に取り上げられ、業界内での評判が悪化することもあります。この結果、企業の存続自体が危ぶまれる事態に陥る可能性もあるため、労災問題の適切な対応が求められます。

弁護士に相談するメリット

労災問題については、法律の専門知識が必要な場合が多く、特に労災かくしに関連する問題は非常にデリケートです。弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。

  • 法的リスクの軽減:法律に基づいた適切なアドバイスにより、企業が負うリスクを最小限に抑えられます。
  • 行政対応のサポート:労基署などの行政機関とのやりとりや調査に対して、専門家としてのサポートを受けられます。
  • 労使トラブルの予防:労働者との間で起こり得るトラブルを未然に防ぐことができ、円満な解決を図れます。

まとめ

労災かくしは労働者と企業の双方に大きなリスクをもたらす行為です。労災事故が発生した場合には、速やかに労働基準監督署に報告し、適切な対応をとることが重要です。問題の発生を防ぐため、労働問題に精通した弁護士に相談し、リスク管理を徹底することが求められます。

労災問題に関してお悩みの方は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所にご相談ください。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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