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労災慰謝料の相場と留意点

はじめに

労災に遭われた方やそのご遺族は、心身ともに深い痛手を負うことになります。労災慰謝料について理解を深めることで、適切な補償を得るための手助けとなります。本ページでは、労災慰謝料の基礎、相場、増減の要因、そして相談のポイントについて解説します。

Q&A形式で解説!労災慰謝料の基本と相場

Q:労災の慰謝料とはどのようなものですか?

A:労災の慰謝料とは、従業員が業務や通勤中に負った怪我や病気、または死亡に伴い、その精神的苦痛に対して会社が支払う損害賠償金です。労災慰謝料は労災保険とは異なり、会社に賠償責任がある場合に支払われるものです。

Q:会社は労災の慰謝料を支払う義務があるのですか?

A:会社には、従業員が安全に働ける環境を提供する「安全配慮義務」があります。この義務に違反し、従業員が精神的・身体的な損害を受けた場合、会社は慰謝料を支払う責任を負うことがあります。また、「使用者責任」として、従業員が他の従業員や第三者に損害を与えた際にも賠償責任を負います。

労災慰謝料の根拠となる法的義務

1.安全配慮義務違反

労働契約法第5条に基づき、会社は従業員が安全に働けるよう配慮する義務を負っています。この義務に違反し、従業員が被害を受けた場合、会社は慰謝料などの損害賠償義務を負う可能性があります。

2.使用者責任

民法第715条では、従業員が業務に従事する中で第三者に損害を与えた場合、会社にもその損害を賠償する責任が発生すると規定しています。

労災慰謝料の相場

労災の慰謝料額は、事故の内容や被害の程度によって異なります。以下、代表的な慰謝料の相場をご紹介します。

1.入通院慰謝料

入院・通院に伴う精神的苦痛への慰謝料は、入院・通院期間によって異なります。例えば、3か月の入院で約145万円、3か月入院後に6か月の通院が必要な場合は約211万円が目安です。

2.後遺障害慰謝料

労災事故で後遺症が残った場合、その等級に応じて以下の慰謝料が相場となります。

  • 第1級:2800万円
  • 第5級:1400万円
  • 第10級:550万円

3.死亡慰謝料

被災した従業員が家庭の支柱である場合、2800万円、配偶者や母親の場合は2500万円が相場です。未婚の場合は2000万〜2500万円程度とされています。

慰謝料の増額・減額要因

増額要因

  • 会社側の過失が大きく、被害が拡大した場合
  • 労災後の会社の対応が不適切であった場合
  • 特別な精神的苦痛を被っている場合(例:妊婦の流産、ライフイベントの喪失)

減額要因

従業員側にも過失がある場合(例:危険行為の関与)には、過失割合に応じて慰謝料が減額されることがあります。

労災慰謝料の請求と弁護士に相談するメリット

慰謝料請求のポイント

労災事故に対して慰謝料を請求する際には、事故発生時の状況や証拠が重要です。会社と従業員双方の過失割合や損害の程度を証明するために、証拠をきちんと集めましょう。

弁護士に相談するメリット

慰謝料請求や交渉は、法的知識が必要なため、専門家である弁護士に相談することが大切です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災慰謝料に関するサポートや交渉を通じて、最適な補償が得られるよう全力で支援しています。

労災が発生した場合の注意点

会社側の対策

  • 早期相談:慰謝料の支払義務が発生する場合に備え、早期に弁護士に相談しましょう。
  • 証拠の収集:従業員側に過失がある場合、その証拠を早期に確保します。
  • 従業員へのケア:被災した従業員や遺族に配慮した対応を心がけ、二次被害を防ぎましょう。
  • リスク管理:高額賠償に備えて、必要に応じて賠償責任保険への加入を検討しましょう。

従業員側の対策

  • 十分な補償を確認:労災保険だけで補償が不足する場合、会社に追加の慰謝料請求を検討します。
  • 弁護士への相談:会社との交渉や慰謝料増額の可能性について、弁護士に相談することで適切な対応が期待できます。

まとめ

労災慰謝料について、基本事項から相場、増減要因までを解説しました。労働災害は予測困難な事態であり、被災した従業員や遺族にとっても、会社にとっても適切な対応が求められます。労災事故が発生した場合には、早急に専門家に相談し、最善の対応を図ることが重要です。慰謝料に関するお悩みがございましたら、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所までご相談ください。

 

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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