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飛来事故の場合における労災の留意点

はじめに

飛来事故とは、作業現場などで「落下物や飛来物が体に当たり怪我をする事故」を指します。建設業や製造業などでは日常的に起こり得るリスクであり、重傷や死亡に繋がる重大な事故も少なくありません。このような事故に対して労災保険が適用されるケースも多いですが、正しい手続きや補償を受けるためにはいくつかの重要な注意点があります。

本稿では、飛来事故の概要や労災手続きの留意点、さらに会社への損害賠償請求のポイントについて解説します。専門的な対応が必要な場面も多いため、ぜひ参考にしてください。

Q&A:飛来事故を知る

Q1. 飛来事故とは何ですか?

飛来事故とは、作業現場や日常生活で物体が上や横から突然飛んできて衝突し、怪我を負う事故を指します。高所作業中の落下物や、機械の部品が破裂して飛散した破片による事故が典型例です。

Q2. 労災保険は適用されますか?

労災保険は、労働中または通勤中に起きた事故に適用されます。飛来事故も多くのケースで労災認定の対象となり、治療費や休業補償が支給されます。

Q3. 会社に損害賠償請求はできますか?

会社が安全配慮義務を怠った場合や、設備管理に不備があった場合などには、会社に対して損害賠償を請求することが可能です。

よくある飛来事故とは

飛来事故は作業環境や業種によって発生状況が異なりますが、次のような例が代表的です。

  • 高所作業中の落下物事故
    例:建設現場で工具や資材が高所から落下し、下で作業していた人に当たる。
  • 機械の破裂事故
    例:研削盤の砥石が破裂し、破片が飛散して作業者に怪我を負わせる。
  • 運搬作業中の落下事故
    例:トラックの荷台から廃材が崩れ落ち、作業者が下敷きになる。

これらの事故は一瞬の出来事で重大な怪我や死亡事故に繋がることが多く、現場の安全管理が極めて重要です。

飛来事故における労災上の注意点

1. 労災保険の申請

労災事故が発生した場合、まず最初に労災保険の申請手続きを行う必要があります。申請の際には次の点に注意してください。

  • 事故の詳細を記録する
     事故が発生した日時、場所、原因を明確に記録しましょう。
  • 医師の診断書を取得する
     診断書は労災保険の給付を受ける際に必要です。

2. 労災の適用範囲

飛来事故が業務中に発生した場合は労災保険が適用されますが、通勤中に起きた事故や現場外での事故の場合は状況に応じて判断されます。自己判断せず、専門家に相談することが重要です。

3. 休業補償

休業が必要な場合、休業補償給付が労災保険から支給されます。ただし、申請には会社側の協力が必要となるため、円滑な手続きのために会社とのコミュニケーションが重要です。

会社に対する損害賠償請求のポイント

1. 安全配慮義務違反の追求

労働安全衛生法では、会社は従業員の安全を確保する義務を負っています。例えば、以下の状況で安全配慮義務違反が問われます。

  • 高所作業中の適切な落下防止措置を取っていなかった。
  • 機械設備の定期点検や整備が怠られていた。

2. 使用者責任の適用

民法第715条に基づき、会社は従業員が業務中に起こした行為について責任を負います。たとえば、同僚が落とした工具によって怪我をした場合、会社が責任を問われることがあります。

3. 損害賠償の範囲

損害賠償請求では、次の項目が対象となります。

  • 医療費
  • 休業による収入減少
  • 精神的苦痛に対する慰謝料
  • 後遺障害が残った場合の補償

弁護士に依頼することで、裁判基準に基づいた適切な請求が可能になります。

弁護士に相談するメリット

飛来事故の損害賠償請求は複雑な要素を含みます。弁護士に依頼することで得られるメリットは次の通りです:

  • 煩雑な手続きの代行
    労災申請や損害賠償請求の手続きを一括して代行します。
  • 最大限の補償を追求
    弁護士は裁判基準を基に適切な損害賠償額を計算し、交渉を行います。
  • 会社や保険会社への反論
    過失相殺の主張など、会社側からの反論に対して専門的な対応が可能です。

飛来事故のような重大な事故では、専門知識を持つ弁護士のサポートが重要です。

まとめ

飛来事故は労働現場での重大なリスクの一つであり、労災保険や損害賠償の制度を適切に活用することが被害者にとって非常に重要です。複雑な手続きや会社との交渉をスムーズに進めるためにも、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

 

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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