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労災審査会への不服申立手続き

はじめに

労災保険(労災)を申請しても、監督署が「業務上のケガや病気ではない」「過労死ラインを超えていない」「私生活が原因」などの理由で不支給を決定することがあります。被災者や遺族が「納得できない」と感じても、そのままでは不支給が確定してしまいます。しかし、労災保険法には不服申立の制度が整備されており、審査請求→再審査請求のプロセスを踏むことで、不支給決定を覆す可能性が残されています。

この審査請求・再審査請求を行う場が、一般的に労災審査会(正式名称:労働保険審査会)や労働者災害補償保険審査官への申し立て手続きです。そこで改めて、監督署の判断をチェックし、追加証拠の提出や意見陳述を行うことで、業務起因性を再度主張できる仕組みになっています。ただし、期間制限があるうえに、法的書面の作成や論点整理が難しいため、専門家(弁護士・社労士)の協力を得るのが望ましいケースも少なくありません。

本稿では、労災審査会への不服申立手続きの流れや注意点、申立を成功させるための証拠補強策などを解説します。不支給決定を受けてもあきらめず、適切に手続きを踏めば認定が覆る事例は少なくありません。ぜひ、手続きの概略と実務上のポイントを押さえておきましょう。

Q&A

はじめに、労災審査会への不服申立手続き(審査請求・再審査請求)についてよくある疑問と回答を簡潔に示します。詳細は「解説」で深掘りします。

Q1. 不支給決定が来たら、どうすればいい?

まず、理由書を精読し、監督署長の決定の通知を受けた日の翌日から3か月以内に審査請求を行うことが可能です。その際、追加証拠や意見書を提出すると判断が覆る余地があります。

Q2. 審査請求・再審査請求を行う場はどこ?

最初は労働者災害補償保険審査官(審査請求)、そこで棄却されたら労働保険審査会(再審査請求)という二段階があります。その後さらに不服なら行政訴訟の道もあります。

Q3. 追加証拠ってどんなもの?

たとえば、長時間労働の詳しい勤怠記録ハラスメント録音・メール専門医の意見書など、「強い業務負荷があった」と裏付ける資料です。

Q4. 審査請求で認定が逆転することは多い?

統計上、そこまで多くはないですが、しっかりした追加証拠や弁護士の論理構成次第で覆る事例もあります。あきらめずに取り組む価値があります。

Q5. 弁護士に依頼した方がいい?

不服申立の書面作成は法律・医学など専門知識を要し、会社が非協力的なら情報開示も困難。弁護士のサポートで成功の可能性を高められます。

解説

ここから、監督署の不支給決定を覆すための具体的手続き――審査請求・再審査請求の流れと実務上のポイントを、会社の非協力や追加証拠収集の方法などと併せて詳述します。

不支給決定後のフロー

審査請求(労働者災害補償保険審査官)
  • 監督署が不支給決定 → 遺族や被災者が監督署長の決定の通知を受けた日の翌日から3か月以内に審査請求を行う。
  • 労働者災害補償保険審査官が審査し、新たな証拠や意見を踏まえて再判断する。棄却・認容・一部認容の結論が出る。
再審査請求(労働保険審査会)

審査請求でも棄却された場合、労働保険審査会に審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に必ず文書で労働保険審査会に行うほか所轄の監督署又は最寄りの監督署もしくは審査官を経由して請求する。

行政訴訟(最終手段)

再審査請求が棄却 → 行政訴訟(裁判所)へ提起して、監督署の決定が違法かどうかを争う。費用・時間がかかるが、認定を覆すチャンスはまだ残る。

追加証拠や論点の整理

業務起因性の立証
  • 不支給理由が「業務と無関係」との判断なら、残業時間ログ、ハラスメント録音、会社の安全管理不備など、追加の客観的証拠を補強。
  • 精神疾患なら、医師の見解書で「強いストレスが業務上原因」と明記してもらう。
時系列と具体的出来事
  • 監督署が「発症時期と業務負荷が繋がっていない」と見なす場合、時系列を細かく示す資料を用意。
  • どの月に残業が急増し、どのタイミングで症状が出たかを日別にまとめるなど、因果関係を明確化。
会社の主張を排除
  • 会社が「本人が勝手に残業した」「病歴があった」などと主張しているなら、弁護士等の力を借り会社の内部記録や同僚証言を収集して事実を示す。
  • 会社の主張が事実と違うとわかれば審査官や審査会も再考する可能性が高まる。

会社の非協力対策

直接申請・情報開示請求
  • 会社が書類作成や押印を拒否しても、遺族・被災者本人が監督署へ申請できる。監督署が会社に照会して事実確認を行う。
  • 必要情報を会社が隠す場合は、弁護士が法的手段(民事訴訟の証拠収集や仮処分)を検討する方法もある。
弁護士の介入

非協力的な会社に対しては、専門家が交渉窓口となり、証拠開示や勤怠データ取得を働きかける。会社は法的リスクを考慮し、協力せざるを得なくなる場合が多い。

弁護士の役割

書類作成と法的主張
  • 審査請求・再審査請求の文書は、法律や判例、通達などを引きながら論理的に構成する必要があり、弁護士や社労士の知見が大きく役立つ。
  • 不備や論点漏れがあると、せっかくの異議申立が棄却されてしまう。
追加検査・専門医意見
  • 医師が業務外と言っていたとしても、セカンドオピニオンや追加検査で異なる見解を得られる場合がある。弁護士が専門医を紹介し、意見書を取得することも。
  • 監督署は「新たな医学的証拠」に注目し、不支給を覆すことがあり得る。
裁判移行のサポート

再審査請求でも棄却されたら、行政訴訟へ進むかどうかが焦点となる。弁護士が訴状作成証拠提出を担い、裁判で認定を勝ち取る道を提示。

実務的ポイントと心得

申立期限
  • 不支給通知を受け取ってから監督署長の決定の通知を受けた日の翌日から3か月以内に審査請求しないと、手続きが認められない。
  • 書類準備に時間がかかるため、早めに弁護士へ相談するのが望ましい。
諦めずに追加証拠を探す
  • 勤怠記録やハラスメント証拠が「不十分」とされたなら、他のシステムログ同僚・目撃者の証言などを再度探す。
  • 「なくなったと思っていた録音が見つかった」「別の医師の診断書で業務負荷が主原因と認められた」など、状況が激変するケースは珍しくない。
私生活原因への反証

会社や監督署が「家族トラブル」「趣味のスポーツが原因」など私生活に原因があると主張する場合、長時間労働ハラスメントが主因だと示す資料をさらに深掘りして提出する。

弁護士に相談するメリット

  1. 理由書の分析と論点整理
    監督署が不支給を決めた理由書を細かく分析し、どの点が認定されずに、どんな追加資料が必要かを弁護士が判断し、効果的に補強する。
  2. 効率的な証拠収集
    会社が情報開示を拒む場合でも、弁護士が証拠開示請求民事訴訟の準備で会社を圧迫し、勤怠記録、メール等を得やすくする。
  3. 不服申立書や意見陳述の作成
    審査請求・再審査請求では、法的根拠具体的事実を示す書面提出や口頭意見陳述が鍵。弁護士が判例や通達を引用しながら説得力ある主張を構築できる。
  4. 行政訴訟への移行サポート
    再審査請求が棄却されても、行政裁判所(地方裁判所)に提起して争える。弁護士は訴訟戦略を設計し、最終的に認定を勝ち取ることを目指す。
  5. 並行する安全配慮義務違反の追及
    不支給の取消と同時に、会社に安全配慮義務違反があれば、損害賠償請求も検討。弁護士が全面的に代理することで二重の手続き負担を軽減。

まとめ

労災保険の不支給に直面しても、審査請求→再審査請求(一般に「労災審査会」と呼ばれるプロセス)を通じて不服申立を行えば、監督署の決定が覆る可能性はあります。決定通知の理由を分析し、

  1. 追加証拠(残業時間ログ、ハラスメント録音、専門医の再診断など)
  2. 時系列の補強(どの時期に業務負荷が強まったか)
  3. 医学的見解(プライベート要因でなく業務要因が主因だとする意見書)

などを用意して再主張すれば、業務起因性が再評価されるケースは少なくありません。

会社が非協力的なら、弁護士の助力で証拠開示や論点整理を行い、納得できる結論を目指すことが重要です。不服申立手続きの期限を逃さず、弁護士法人長瀬総合法律事務所などの専門家に早期に相談すれば、成功の可能性は高まります。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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