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会社の就業規則や労働契約書との関係

はじめに

「就業規則には安全管理や労災手続きについてどこまで書かれているの?」「労働契約書で『自己責任』とされているが、過労死や労災は自己責任になる?」――会社と締結する労働契約書や、会社が定める就業規則は、日常の労働条件を規律する基本的なルールです。しかし、労災や過労死の発生時にそれらがどのように作用するのか、実際には深く理解されていないことが多いのが現状です。

特に、過労死や労災で争いになった場合、「就業規則に安全配慮義務の定めがないから会社は責任を負わない」とか、「労働契約書で残業は本人の裁量と書いてあるから仕方がない」と主張されることもあります。しかし、労働基準法をはじめとする上位法令のルールは強行規定であり、就業規則や契約書でこれを無効化することは基本的にできません。会社の安全配慮義務労災手続きは法令に基づく義務であり、就業規則でそれを排除・制限することは許されないのです。

本稿では、会社の就業規則や労働契約書がどこまで労災・過労死に関与するのか、法令との優先順位や、違法な契約条項があった場合にどう対処するかなどを解説します。労働者としては、就業規則の内容に惑わされず、上位法令が優先されることを理解し、万が一の労災に際して正当な手段を行使できるよう備えておきましょう。

Q&A

まず、就業規則や労働契約と労災問題に関する代表的な疑問(Q)と回答(A)を簡潔に示します。詳細は「解説」で深掘りします。

Q1. 労働契約書に「会社は労災を認めない」と書いてあったら、本当に認められない?

いいえ。労災保険は強行法規(公的制度)に基づく権利であり、契約書で否定することは無効です。会社が独自に「労災認めない」と規定しても、法的効力はありません。

Q2. 就業規則に「残業は自己責任」と書いてあっても過労死は自己責任?

そのような定めがあっても、上位法令(労基法や安全配慮義務)が優先されるため無効。長時間労働で健康被害が出れば会社の安全配慮義務違反が問われる可能性が高いといえます

Q3. 就業規則に労災手続きの詳細が書かれている場合、それに従わないとダメ?

就業規則の定めも尊重すべきですが、法令の定めが最優先です。もし就業規則が法令の義務を下回る内容なら、法令に従って直接監督署へ申請可能です。

Q4. 会社がハラスメント禁止を就業規則に定めていないなら、パワハラは許される?

いいえ。就業規則に書かれていなくてもパワハラ防止法安全配慮義務があり、ハラスメントは違法です。就業規則に規定がなくとも会社に責任が生じ得ます。

Q5. 契約書に「労災申請は会社と相談のうえ行う」と書いてあるが、会社が反対するなら?

労災申請は労働者の権利であり、会社の同意は不要。たとえ契約書にそんな条項があっても法的には無効。直接監督署へ申請すれば済みます。

解説

ここでは、就業規則や労働契約書が労災保険や過労死問題に及ぼす影響、法令との優先順位、そして違法・無効な条項への対処法などを詳細に解説します。

就業規則・労働契約の法的位置づけ

上位法令との関係
  • 労働基準法労働者災害補償保険法その他関連する法律が最優先。就業規則や労働契約書は、これらに反する条項があっても無効となる。
  • 例えば、「業務中のケガは自己責任」「残業代は払わない」「労災を利用しない」という条項は、法令違反となり効果がない。
就業規則の意義
  • 就業規則は労働条件の最低基準として会社が定める内規。労働者は就業規則の内容を周知され、会社はその運用に従わなければならない。
  • ただし、就業規則が法定の基準(労基法など)を下回る部分は無効になる。
労働契約書の限界
  • 労働契約書で「長時間労働は自己同意」「労災申請はしない」と書いてあっても、強行規定の法令に優先され無効。
  • 必要以上に労働者に不利な取り決めは「公序良俗」や「労働者保護法制」に抵触する。

労災保険との具体的関係

労災申請の自由
  • 労災保険法により、業務上・通勤上のケガや病気を負った労働者は会社の同意なしで監督署へ申請できる。
  • 就業規則や契約書に「労災手続きは会社承認が必要」とあっても、無効。会社が押印や証明を拒否しても労働者単独で可能。

過労死や労働災害でよくある誤解

「自己管理不足だから自己責任」
  • 就業規則で「労働者は自己管理する」といった定めがあっても、安全配慮義務に反するような長時間労働やハラスメントがあれば会社の責任が問われる。
  • 裁判でも「就業規則に自己責任と書いてある」という会社の主張は認められない。
「無断残業だから会社は関係ない」
  • 「就業規則で残業は事前申請が原則」と書かれていても、会社が実態として黙認していれば業務指示と同視される。
  • 過労死が発生すれば、会社の責任が免除されるわけではない。
「契約書で合意しているから賃金を払わない」
  • 「みなし残業」「固定残業代」の条項があっても、適正な計算をしていないなら違法となり、未払い残業代や労災リスクが発生。

違法な就業規則・契約条項への対処

労基署への申告
  • 就業規則に明らかな違法条項がある場合、労働者が労基署に申告し、会社に是正指導が行われることも。
  • 労基署は事実調査の権限があり、違法行為を見つければ是正勧告や書類送検を行う。
弁護士による無効主張
  • 裁判などで会社が「就業規則に基づく」と主張しても、弁護士が「法令違反で無効」と反論。判例や通達を引いて説得力のある論を展開できる。
  • 過労死事案では、会社が就業規則を盾に責任回避しようとしても、安全配慮義務が優先される。
労働者側の証拠整備
  • 会社が「就業規則に従っている」と言い張っても、労働者は実態(残業時間やハラスメント)を記録し、会社の規定が無効であることを証拠で示す。
  • 弁護士のサポートで社内規定と実際の運用の不一致を立証すれば、有利に交渉・裁判を進められる。

5)実務上の注意点・アドバイス

就業規則の閲覧
  • 労基法により、就業規則は従業員がいつでも自由に閲覧できるよう保管する義務が会社にある。
  • 自身の会社がどんな規定を定めているか、まず確認することが重要。
労働契約書と上位法令
  • 契約書で「残業代は一定額に含む」と書かれていても、法定割増を下回れば違法。
  • 「業務中のケガは自己責任」との条項は明らかに無効。労災保険法が優先される。
会社が誤解している場合
  • 会社自身が「就業規則にこう書いてあるから労災は使えない」と本気で信じている可能性も。監督署弁護士の意見を示し、法令が優先されることを認識させる。

弁護士に相談するメリット

  1. 会社の規定が法的に有効か精査
    弁護士が就業規則・労働契約書をチェックし、無効条項法令違反を指摘。過労死・労災トラブルで会社が契約書を盾に主張しても、法的論拠をもって無効だと反論できる。
  2. 安全配慮義務との照合
    弁護士が安全配慮義務の判例や通達を踏まえ、会社の就業規則が長時間労働防止ハラスメント対策をどの程度盛り込んでいるかを検討。足りなければ安全配慮義務違反の責任を会社に問える。
  3. 過労死や労災の証拠収集
    就業規則で「残業は本人の自由意志」と書いてあっても、弁護士が実態調査(タイムカード・PCログ等)で黙示の残業命令を立証すれば、会社の責任回避を崩せる。
  4. 示談・裁判での強力な交渉力
    会社が「就業規則にこうある」と言ってきても、弁護士が法律・判例を駆使し、適切な賠償金や労災手続きを勝ち取る可能性を高める。
  5. 企業側のリスク管理
    企業が弁護士に依頼して就業規則を法令適合に改訂し、労災リスクを下げる予防法務も盛んに行われている。過労死やハラスメントを防ぐ体制整備につながる。

まとめ

就業規則や労働契約書は会社と労働者の間で守るべきルールを示しますが、上位法令(労基法、労働者災害補償保険法、労働契約法など)に違反する条項や、労働者に過度に不利な取り決めは無効となります。たとえ「労災を使うな」「ケガは自己責任」と書いてあっても、法的強制力はありません。

  • 会社が就業規則を根拠に労災申請を阻止しようとしても、実際には被災者や遺族が監督署に直接申請する権利が法的に保証されています。
  • 長時間労働やハラスメントを放置していれば、会社は安全配慮義務違反として民事裁判で高額賠償を負うリスクが大きく、就業規則の記載は言い訳になりません。
  • 過労死や労災問題で会社が「うちの契約書に書いてあるから責任はない」と主張しても、法律の優先順位を理解し、正しく対処すれば自分の権利を守ることが可能です。

もし会社の就業規則や労働契約書の条項を理由に労災申請が妨げられているなら、弁護士法人長瀬総合法律事務所など専門家に相談し、違法・無効な条項を排除して法令に従った補償や手続きの実現を目指しましょう。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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