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【給付の種類別】あなたかがもらえる労災保険給付金の詳細解説|脳・心臓疾患のリスクがある人が受けられる二次健康診断等給付とは

はじめに

職場の健康診断(定期健診)の結果が返ってきて、「血圧が高い」「血糖値が気になる」「再検査が必要」といった判定が出て不安を感じている方はいらっしゃいませんか?

「忙しくて病院に行く時間がない」「再検査にお金がかかるのが嫌だ」と、つい放置してしまっているかもしれません。

ですが、もしあなたが長時間労働やストレスの多い環境にいるならば、その数値の異常は、将来の「過労死(脳出血、心筋梗塞など)」につながる危険なサインかもしれません。

今回は、そのようなリスクを抱える労働者の方を守るために、労災保険から無料で精密検査などが受けられる「二次健康診断等給付」という制度について解説します。

「怪我をしてから」使うのが通常の労災保険ですが、この制度は「病気を未然に防ぐ」ために使える数少ない予防給付です。対象となる条件や、どのような検査が受けられるのか、詳しく見ていきましょう。

解説

労災保険の「二次健康診断等給付」とは

制度の概要

二次健康診断等給付とは、職場の定期健康診断(一次健康診断)において、脳血管疾患や心臓疾患に関連する項目に異常の所見があった労働者に対して、二次健康診断(精密検査)と特定保健指導(医師等による指導)を無料で提供する制度です。

通常、人間ドックや精密検査を個人的に受けると数万円の費用がかかることがありますが、この制度を使えば自己負担ゼロで受診できます。

なぜこの制度があるのか

労働災害の中でも、過労やストレスが原因で起こる脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、心筋梗塞などは「過労死」とも呼ばれ、命に関わる、あるいは重篤な後遺障害を残す深刻な問題です。

これらの病気は、ある日突然発症するように見えますが、多くの場合、高血圧や脂質異常症などの基礎疾患が背景にあります。

国は、こうしたリスク(異常の兆候)を早期に発見し、発症を未然に食い止めることが重要だと考え、この「予防のための給付」を設けているのです。

お金がもらえるわけではありません

この給付の特徴は、「現物給付」である点です。

休業補償のように現金が振り込まれるわけではなく、「検査や指導そのものを無料で受けられる」というサービス型の給付になります。

あなたは対象? 受給できる条件

この制度を利用するには、職場の定期健康診断(一次健康診断)の結果において、以下の条件を満たしている必要があります。

条件①:一次健康診断で4項目すべてに「異常」があること

原則として、直近の定期健康診断において、以下の4つの検査項目すべてについて、「異常の所見がある(異常なし・要経過観察 以外)」と診断されている必要があります。

  1. 血圧検査(収縮期血圧、拡張期血圧のいずれか一方でも異常なら可)
  2. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪のいずれか一つでも異常なら可)
  3. 血糖検査(空腹時血糖、随時血糖、HbA1cのいずれか一つでも異常なら可)
  4. 腹囲の検査 または BMI(肥満度)の測定
    1.  腹囲の基準:男性85cm以上、女性90cm以上
    2. BMIの基準:25以上

「4つ全てに引っかかるなんて、よほど状態が悪くないと無理では?」と思われるかもしれません。しかし、あきらめるのは早いです。次の例外条件があります。

条件②:産業医の意見がある場合

上記の4項目すべてに異常がなくても、「就業環境等を総合的に勘案し、異常の所見がない項目についても異常の所見がある項目と同程度に脳・心臓疾患発症のおそれがある」と産業医が認めた場合は、給付の対象となります。

例えば、「血圧と血糖値は高いが、肥満ではない」という場合でも、長時間労働が続いているなどの事情があれば、産業医の判断で利用できる可能性があります。健康診断の結果を持って、会社の産業医に相談してみることをお勧めします。

対象外となるケース(注意点)

以下の場合は、たとえ数値が悪くてもこの制度は利用できません。

  • すでに脳・心臓疾患の症状がある場合
    予防ではなく「治療」が必要な状態ですので、健康保険(または業務起因性があれば労災の療養給付)を使って治療を受けることになります。
  • 労災保険の特別加入者
    会社役員(労働者扱いでない場合)、一人親方、個人タクシー事業者などの「特別加入者」は、この制度の対象外です。
  • 一次健康診断から3ヶ月以上経過している場合
    原則として、健康診断を受けてから3ヶ月以内に請求する必要があります。

具体的に何が受けられるのか?(給付の内容)

給付の対象となると、以下の「二次健康診断」と「特定保健指導」をセットで、1年度(4月1日〜翌年3月31日)につき1回受けることができます。

二次健康診断(精密検査)の内容

脳や心臓の状態を詳しく調べるための検査です。

  1. 空腹時血中脂質検査: コレステロールや中性脂肪の値を詳しく調べます。
  2. 空腹時血糖値検査: 糖尿病のリスクを測ります。
  3. ヘモグロビンA1c検査: 過去1〜2ヶ月の血糖状態を調べます(※一次健診で行っていない場合)。
  4. 負荷心電図検査: 階段の昇降などの運動を行い、心臓に負荷をかけた状態での心電図をとります(狭心症などの発見に有効)。
  5. 胸部超音波検査(心エコー): 超音波で心臓の動きや形、弁の状態などを直接観察します。
  6. 頸部超音波検査(頸動脈エコー): 首の血管の厚さや詰まり具合を調べます(動脈硬化の進行度が分かり、脳梗塞リスクの予測に役立ちます)。
  7. 微量アルブミン尿検査: 腎臓の障害の程度を調べます(※一次健診の尿蛋白検査で疑いがある場合)。

特定保健指導の内容

検査結果に基づき、医師や保健師から具体的なアドバイスを受けることができます。

  1. 栄養指導: 食生活の改善ポイントについて指導を受けます。
  2. 運動指導: 無理なく続けられる運動方法などの指導を受けます。
  3. 生活指導: 睡眠、喫煙、飲酒、ストレス対策など、生活習慣全般の指導を受けます。

申請から受診までの手続きフロー

この制度は、一般的な労災申請(労働基準監督署への提出)とは異なり、「指定医療機関へ直接申し込む」形をとります。

STEP 1:一次健康診断の結果を確認する

会社で行った健康診断の結果通知書を用意します。受診日から3ヶ月以内であることを確認してください。また、要件を満たしているか(4項目異常、または産業医の意見記載があるか)を確認します。

STEP 2:受診する病院を探す

この給付は、どこの病院でも受けられるわけではありません。「労災病院」または「労災保険指定医療機関(かつ二次健診を行っている病院)」である必要があります。

厚生労働省のウェブサイトで検索するか、最寄りの労働基準監督署に問い合わせて、対応している病院を探しましょう。予約の際には「労災の二次健康診断を受けたい」と伝えてください。

STEP 3:請求書を作成する

「二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)」を作成します。

用紙は労働基準監督署で入手するか、厚生労働省のHPからダウンロードできます。

  • 請求書には、会社(事業主)の証明記入欄がありますので、会社に記入を依頼してください。
  • 産業医の指示で受ける場合は、産業医の証明欄にも記入が必要です。

STEP 4:病院の窓口に提出して受診する

予約した病院の窓口に、以下の書類を提出します。

  1. 二次健康診断等給付請求書(作成したもの)
  2. 一次健康診断の結果を証明する書類(結果通知書の写しなど)

これで手続きは完了です。窓口での支払いはありません(現物給付)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 会社に知られずに受けることはできますか?

制度上、請求書に事業主(会社)の証明が必要ですので、会社を経由せずに受けることは原則として難しいです。また、会社は従業員の健康管理を行う義務(安全配慮義務)があるため、異常が見つかった場合は会社と情報を共有し、業務量の調整などを求めることが望ましいと言えます。

Q2. パートやアルバイトでも受けられますか?

はい、受けられます。雇用形態に関わらず、労働者として会社に雇用され、定期健康診断の対象となっており、かつ要件(異常の所見)を満たせば利用できます。

Q3. 結果が悪かった場合、会社をクビになりませんか?

健康診断の結果を理由とした解雇は、法的に不当解雇となる可能性が高いです。むしろ会社は、結果が悪かった従業員に対して、医師の意見を聞き、就業場所の変更や労働時間の短縮など、健康を配慮した措置(就業上の措置)を講じる義務があります(労働安全衛生法)。

もし、検査結果を理由に不利益な扱いを受けた場合は、弁護士にご相談ください。

Q4. 1年度に1回とは、いつからいつまでですか?

4月1日から翌年の3月31日までを「1年度」とします。この期間内に1回受けることができます。

 

結論

健康は最大の資産。リスクがあるなら迷わず受診を

「二次健康診断等給付」は、働き盛りの皆さんの命を守るための重要な権利です。

特に、以下の条件に当てはまる方は、この制度の利用を検討してください。

  • 健康診断で血圧や血糖値、脂質の数値を指摘された。
  • 残業が多く、慢性的な疲労を感じている。
  • 責任ある立場で、ストレスが多い。

もし、これらのリスクを放置して脳・心臓疾患を発症してしまうと、最悪の場合、命を落としたり、重い麻痺が残って以前のように働けなくなったりする可能性があります。

また、万が一、将来的に過労による病気で労災申請(療養給付など)をすることになった場合、「健康診断の結果を受けて、二次健診を受けていた」という記録は、あなたが自身の健康管理に努めていた証拠の一つとなります。逆に、会社が二次健診の機会を与えず(あるいは受診を妨害し)、結果として倒れてしまった場合は、会社の安全配慮義務違反を問う際の重要な要素にもなり得ます。

「まだ若いから大丈夫」「忙しいからまた今度」と思わず、異常のサインが出ているならば、この無料の制度を活用して体の状態をチェックしてください。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、労働災害に遭われた被害者の方の救済はもちろん、労働者が健康に働き続けられる環境づくりも大切だと考えています。もし、過労による健康被害や、会社とのトラブルでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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