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労災事故後の示談交渉と解決までの完全ガイド

はじめに

労災事故が発生した場合、被災者やその家族にとって、まずどのように対応すればよいのか、また、示談交渉においてどのような知識が必要なのかを理解することが重要です。この記事では、労災事故が起きた際に知っておくべき基本的な示談交渉の流れや、成功のためのポイントについて解説します。特に、弁護士法人長瀬総合法律事務所のサポートを受けることで、被災者が適切な補償を受けるための手続きをよりスムーズに進めることが可能になります。以下に、労災事故が発生した際の行動指針や示談交渉の流れ、弁護士に相談することのメリットなどを説明します。

Q&A

Q1: 労災事故が起きた場合、最初にどのような対応をすべきですか? 

A1: 労災事故が発生したら、まず速やかに医療機関を受診し、事故の詳細を会社に報告します。その後、労災保険の申請手続きと同時に、示談交渉の準備を進めることが大切です。早期の対応が後の示談交渉を有利に進めるための基盤となります。

Q2: 労災保険と損害賠償請求の違いは何ですか? 

A2: 労災保険は、労災認定さえされれば過失割合にかかわらず給付が行われますが、その金額は一定で、被災者の損害全額をカバーするものではありません。一方、損害賠償請求は、労災保険で不足する部分を補うために会社に対して行う請求であり、交渉や裁判によってその金額が決定されます。

Q3: 示談交渉は被災者自身で行うことができますか? 

A3: 示談交渉は被災者自身で行うことも可能ですが、特に会社が責任を認めたがらない場合や交渉が難航するケースでは、弁護士に依頼することが強く推奨されます。弁護士が介入することで、交渉が円滑に進み、被災者が適切な補償を受けられる可能性が高まります。

労災事故で示談交渉が必要となる理由

労災事故が発生し、その原因が会社の安全配慮義務違反などの民事責任によるものである場合、労災保険の給付だけでは被災者にとって十分な補償とは言えないことがあります。特に、事故の重大性や後遺障害が残る場合、損害額は労災保険の給付額を大きく超えることがあります。このような状況において、示談交渉を通じて会社から損害賠償を受けることが必要になります。

示談交渉とは、裁判を通さずに当事者間で話し合いにより問題を解決する手続きです。被災者が適切な補償を受けるためには、この示談交渉が非常に重要です。示談が成立することで、会社側が支払うべき損害賠償金額が確定し、それ以上の争いを避けることができます。

労災保険給付と会社の損害賠償義務の違い

労災事故において理解しておくべき重要な点は、労災保険の給付と会社の損害賠償義務は別の手続ということです。労災保険は、労災が認定されさえすれば、過失の有無にかかわらず一定の給付が行われます。これには療養給付や休業給付などが含まれますが、給付額には上限があり、被災者の実際の損害を全額カバーするものではありません。

一方、損害賠償請求は、労災保険の給付ではカバーしきれない損害を補うためのもので、会社の責任範囲内で金額が決まります。会社の責任には、労働契約に基づく債務不履行(安全配慮義務違反)や、不法行為責任などがあります。損害賠償請求が認められれば、労災保険の給付額を超える補償が受けられることになります。

労災保険の給付内容と不足部分

労災保険による給付は、主に財産的損害のうち治療費(療養給付)を全額カバーしますが、それ以外の損害、特に精神的損害(慰謝料)については補償されません。財産的損害についても、休業給付は収入の80%までしかカバーされず、後遺障害や死亡による逸失利益も、給付される金額が必ずしも十分ではないケースが多くあります。

例えば、後遺障害が残った場合には、治療費や休業損害、逸失利益に加えて、後遺障害慰謝料や将来の介護費用、住宅改修費用なども考慮されるべきですが、労災保険だけではこれらをすべて賄うことができません。さらに、被災者が死亡した場合には、死亡による逸失利益や死亡慰謝料が発生しますが、これも労災保険では不十分なことが少なくありません。

したがって、労災事故の被災者は、労災保険の給付だけに頼るのではなく、会社に対して不足分を損害賠償として請求する必要があります。この損害賠償請求を行う際には、示談交渉が不可欠であり、交渉がうまく進まない場合は裁判で解決を図ることになります。

労災事故発生から示談交渉による解決までの流れ

労災事故が発生した際には、次の手順で対応を進めることが求められます。

報告と速やかな療養

事故が発生したら、速やかに医療機関を受診し、事故の詳細を会社に報告します。この報告は、最低限受け取ることができる労災保険の給付を受けるために重要です。また、受診する際には、軽傷でも必ず病院で診察を受けることが推奨されます。事故から受診までの期間が空くと、業務起因性の証明が難しくなる可能性があるためです。

損害額の計算

事故による損害額の計算は、治療が終了した段階や後遺障害が残る場合には症状固定時に行います。損害額の計算には、治療費、入通院にかかる費用、休業損害、慰謝料などが含まれます。また、後遺障害がある場合には、逸失利益や後遺障害慰謝料も加算されます。死亡事故の場合は、これに死亡による逸失利益や死亡慰謝料が追加されます。

示談交渉の開始

損害額が確定したら、会社との示談交渉を開始します。示談交渉は書面で行い、記録を残すことが基本です。交渉が難航する場合や、自身での対応に不安がある場合は、弁護士を介して交渉を進めることもご検討ください。

示談書の作成または裁判手続き

示談交渉がうまく進まない場合には、労働審判や民事訴訟といった裁判手続きを通じて解決を図ります。この場合、申立書類の作成や証拠の収集などが必要であり、専門的な知識が求められます。こうした対応は弁護士に依頼することが適切です。

会社の損害賠償義務の法的根拠

労災事故における会社の損害賠償義務は、主に二つの法的根拠に基づいています。

債務不履行の責任(安全配慮義務違反)

労働契約法第5条に基づき、会社は労働者の生命や身体の安全を確保するために必要な配慮を行う義務を負っています。この安全配慮義務には、施設管理と人的管理の二つの要素があります。施設管理とは、作業場や設備の安全を確保すること、人的管理とは、労働者に対する安全衛生教育や健康診断の実施です。いずれかを怠った場合、会社には債務不履行の責任が生じ、損害賠償義務を負うことになります。

不法行為責任

民法第709条に基づき、会社が故意または過失により労災事故を引き起こした場合、不法行為責任が問われます。さらに、他の従業員のミスや従業員間の暴行による事故が発生した場合は、民法第715条の使用者責任が適用されます。注文者の無理な指示により事故が起きた場合は、民法第716条の注文者責任が問われます。また、施設や設備の欠陥による事故は、民法第717条の工作物責任として追及されることがあります。

労災事故で会社との示談を成功させるためのポイント

労災事故において会社との示談交渉を成功させるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

早期に弁護士に相談する

労災事故が発生したら、早期に弁護士に相談することで、適切な対応が可能になります。特に初回受診のタイミングでの相談が推奨されます。

自己判断で退職しない

事故後に自己判断で退職したり、会社からの退職勧奨に応じたりしないように注意しましょう。これにより、請求額で不利になる可能性があります。

証拠を確保する

労災事故の原因が日常的に見られるものである場合、タイムカードや作業日誌などの証拠を確保しておくことが重要です。これにより、会社の責任を証明しやすくなります。

弁護士に相談するメリット

労災事故に直面した被災者が弁護士に相談することで得られるメリットは以下の通りです。

  • 専門的なアドバイス: 労災事故に関する法律知識を持つ弁護士が、適切な対応方法をアドバイスします。これにより、被災者が知らない法律の抜け道や、有利な解決方法を見つけることができます。
  • 交渉力の強化: 弁護士が交渉を代行することで、会社側に対して有利な条件で示談を進めることが可能です。弁護士の介入は、会社側にプレッシャーを与え、被災者の立場を強化することも期待できます。
  • 精神的負担の軽減: 法律の専門家に任せることで、被災者やその家族の精神的負担が軽減されます。特に、事故後の混乱やストレスが多い状況では、弁護士に対応を任せることで安心感が得られます。

まとめ

労災事故が発生した場合、労災保険だけではカバーしきれない損害が発生することが多いため、会社との示談交渉が不可欠です。初動対応から示談交渉、裁判手続きに至るまで、専門的な知識と経験が必要とされるため、労働災害に詳しい法律事務所に相談することもご検討ください。適切な補償を受け、早期に解決するために、専門家のサポートを受けることが一助となります。

会社との示談を成功させるためには、初動対応をしっかりと行い、損害額の計算や法的根拠を明確にすることが大切です。弁護士の助言を受けながら、慎重に交渉を進めることで、被災者にとって最良の結果を得ることができるようご対応いただければ幸いです。

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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