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労働災害に関する民事賠償の基礎知識

労働災害に関する民事賠償の基礎知識

はじめに

労働災害は、労働者が業務中に被った怪我や病気、死亡などのことを指します。日本では、労働災害に対して、労災保険制度を通じて補償が行われていますが、これとは別に、事業主に対して損害賠償を請求することも可能です。特に、事業主が労働者の安全に対する配慮を怠った場合、民事訴訟で高額な賠償が命じられることがあります。本稿では、労働災害における民事賠償の基本的な考え方や、具体的な手続きについて解説します。

労災保険と民事賠償の関係

労災保険は、労働基準法に基づいて労働者が業務上の怪我や病気、死亡などに対して一定の補償を受けることができる制度です。この保険は、労働者が被った損害の一部を補うものであり、事業主が保険料を支払う義務を負っています。しかし、労災保険で補償される金額は限られており、全ての損害をカバーするものではありません。

そのため、労働者やその遺族は、労災保険の給付を受けると同時に、事業主に対して民事訴訟を提起して追加の損害賠償を請求することができます。これを「法定外補償」と呼びます。民事訴訟では、労働者が被った損害の全額を請求することが可能であり、特に事業主が安全配慮義務を怠った場合には、高額な賠償が認められることがあります。

安全配慮義務とその重要性

安全配慮義務とは、事業主が労働者の安全を確保するために必要な措置を講じる義務のことです。この義務には、労働環境の整備や、危険な作業に対する十分な教育・指導を行うこと、適切な保護具を提供することなどが含まれます。

事業主がこの義務を怠った場合、労働者が労災に遭った際には、民事訴訟で損害賠償責任を追及される可能性があります。安全配慮義務違反が認められれば、事業主は労災保険の給付を超える損害を賠償する責任を負うことになります。

労災民事賠償訴訟の流れ

労災民事賠償訴訟は、以下のような流れで進行します。

  1. 損害の発生と診断:まず、労働者が業務中に怪我や病気を負った場合、医師の診断を受け、その損害の内容や程度を確認します。この段階で、労災保険の申請も行われます。
  2. 安全配慮義務違反の確認:次に、事業主が安全配慮義務を怠っていたかどうかを確認します。これは、労働基準監督署の調査や、関係者からの証言を基に行われます。
  3. 損害賠償請求の提起:安全配慮義務違反が認められ、労働者や遺族が受けた損害が労災保険の給付を超える場合、労働者やその遺族は事業主に対して民事訴訟を提起します。この際、損害賠償額は、被害の程度や事業主の過失の度合いに応じて決定されます。
  4. 和解または判決:訴訟が進行する中で、双方が合意すれば和解が成立することがあります。和解が成立しない場合、裁判所が判決を下し、事業主に対して賠償金の支払いを命じます。

労災民事賠償の実例

過去の労災民事賠償訴訟では、事業主が安全配慮義務を怠り、労働者が死亡した事例において、数千万円の賠償金が認められたケースがあります。また、過重労働が原因で労働者が精神疾患を患い、自殺に至った場合にも、企業に対して高額な賠償が命じられることが増えています。

これらの判例は、事業主にとって安全配慮義務の重要性を再認識させるものであり、労働環境の改善が強く求められる背景となっています。

事業主がとるべき対策

労災民事賠償リスクを軽減するために、事業主は以下の対策を講じることが重要です。

  1. 労働環境の整備:労働者が安全に作業できる環境を整備し、危険な箇所には適切な標識を設置するなどの措置を講じます。
  2. 労働者への教育・指導:新たに採用した労働者や、業務内容が変更された労働者には、十分な教育・指導を行い、安全意識を高めます。
  3. 定期的な健康診断:労働者の健康状態を定期的に把握し、異常が見られた場合には早期に対応します。特に、過重労働が問題となりやすい職場では、メンタルヘルスにも十分な配慮が必要です。
  4. 労災保険の加入と上積み補償:法定の労災保険に加えて、企業独自の上積み補償制度を導入し、労働者に対する補償を充実させることが重要です。

まとめ

労働災害に対する民事賠償は、労働者の権利を守るための重要な手段であり、事業主にとっても無視できないリスクです。安全配慮義務を果たし、労働環境を適切に整備することが、企業の信頼性を高め、労働者の安心・安全を確保するための鍵となります。労働者の福祉向上を目指し、企業が積極的に労災防止策を講じることが期待されます。

 

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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