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精神疾患に関する労災認定の基準と手続き

はじめに

労働災害(労災)とは、従業員が仕事中や通勤途中に怪我をしたり病気に罹った場合に、一定の条件のもとで保障される制度です。特に精神疾患(例:うつ病)が労災として認定されるためには、通常の身体的な怪我や病気と異なる認定基準が設けられています。この記事では、精神疾患の労災認定の条件、手続きの流れ、注意すべき点について、弁護士法人長瀬総合法律事務所が解説します。

Q&A形式:精神疾患は労災の対象になるのか?

Q1: 精神疾患は労災の対象になりますか?

A: はい、精神疾患も労災の対象となる可能性があります。特にうつ病などの精神障害が仕事上の強いストレスを原因として発症した場合には、労災として認定されることがあります。

Q2: うつ病が労災認定されるための条件は何ですか?

A: 以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発症していること。
  2. 発症前の概ね6ヶ月以内に仕事による強いストレスを受けたこと。
  3. 業務以外の心理的負荷や従業員個人の要因により発病したと認められないこと。

Q3: 具体的にどのような出来事が「強いストレス」として評価されるのでしょうか?

A: 「特別な出来事」として評価されるものには、以下の例があります。

  • 業務上の重大事故(他人を死亡させる、または生死に関わる怪我を負わせるなど)。
  • 極度の長時間労働(直前1ヶ月で160時間を超える時間外労働など)。
  • 性犯罪の被害やパワーハラスメント(上司等からの身体的・精神的攻撃など)。

Q4: 労災として認定されるとどのようなメリットがありますか?

A: 精神疾患が労災として認定されると、以下のようなメリットがあります。

  1. 治療費の負担が不要:労災保険の給付を受けることで治療費を全額カバーできます。
  2. 休業補償を受けることができる:給付基礎日額の60%および特別支給金の20%を受け取ることが可能です。
  3. 治療のために仕事を休んだ場合の解雇リスクが低い:労災を理由とする解雇は法律上原則禁止されています。
  4. 労災保険給付は従業員の過失割合の影響を受けない:労災保険は従業員の過失の有無にかかわらず給付されます。

精神疾患の労災認定基準について解説

精神疾患が労災として認定されるためには、一定の基準を満たすことが求められます。具体的には、以下の要件が該当するかどうかを確認し、労働基準監督署による審査を経て認定が行われます。

1. 認定基準の対象となる精神障害を発症していること

精神障害の種類には、うつ病、適応障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などが含まれます。これらの疾患が認定基準の対象とされている場合、労災としての認定が可能です。

2. 発症前の概ね6ヶ月以内に仕事による強いストレスを受けたこと

単に医者から診断されただけでは労災認定とはなりません。発症前6ヶ月の間に「特別な出来事」や「具体的な出来事」が仕事上で発生し、そのストレスの程度が「強」と評価される必要があります。

3. 業務以外の心理的負荷や個人的要因が発症の原因ではないこと

仕事とは無関係な個人的な理由(例:家庭問題や個人的なトラブルなど)で精神疾患が発症した場合には、労災とは認められません。

労災認定される従業員のメリット

労災が認定されることで、従業員は以下のメリットを享受できます。

  1. 治療費の全額給付
  2. 休業補償の受給
  3. 解雇されるリスクの軽減
  4. 過失割合を問われないため、従業員にとって不利益が生じない

労災認定される会社のデメリット

一方、会社にとっては労災認定がされると以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

  1. 安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われる
  2. 裁判を起こされるリスクが増加する
  3. 社会的信用の失墜や企業イメージの低下
  4. 労災保険料の増加や罰則適用の可能性
  5. 労災が原因の解雇制限を受けるリスク

弁護士に相談するメリット

労災問題は、法律や基準の解釈が難しく、手続きも煩雑です。弁護士に相談することにより、以下のようなメリットがあります。

  1. 専門知識に基づいた適切な助言を得られる
  2. 複雑な手続きの代行を依頼できる
  3. 裁判や紛争解決において強力なサポートを受けられる
  4. 労災が認定されやすくなる証拠の収集や準備が可能

労災問題に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所へご相談ください。専門の弁護士がサポートいたします。

まとめ

精神疾患による労災は、従業員の安全や健康を守るための重要な制度です。うつ病などの精神疾患が労災として認定されるためには、厳格な基準を満たすことが必要です。また、労災が認定された場合には、従業員・会社ともにさまざまな影響を受けることになります。

 

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災問題についての豊富な経験を持ち、従業員・企業双方に適切なサポートを提供しています。労災に関してお困りの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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