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労働災害における元請会社の責任とは

Q:下請会社で発生した事故に対して、元請会社はどのような責任を負うのですか?

A:元請会社は、下請会社の事故について「安全配慮義務違反」に基づく損害賠償責任や、労働安全衛生法違反に関する責任を負う可能性があります。また、労働基準監督署(労基署)による災害調査の対象となることもあります。

Q:具体的には、元請会社の責任とはどのようなものですか?

A:元請会社の責任としては、以下のものが考えられます。

  1. 安全配慮義務違反に基づく責任:元請会社が下請業者に対して安全配慮義務を怠った場合、損害賠償責任を負うことがあります。
  2. 労働安全衛生法違反:労働安全衛生法に定められた義務を果たしていない場合、労基署による指導・監督、場合によっては罰則が科されることもあります。

Q:労働基準監督署はどのように対応するのでしょうか?

A:労災が発生した場合、労基署は「災害調査」を行い、事故原因や労働安全衛生法違反の有無を調査します。その結果に応じて、必要な是正措置を求めることがあります。また、災害の重大性によっては、企業全体の安全管理体制の見直しを指導されることもあります。

元請会社と下請会社の関係

元請会社と下請会社は本来独立した事業者ですが、特定の状況下では元請会社が下請会社の労働者に対して指揮監督を行うこともあります。このような場合、元請会社は下請会社の労働者に対しても一定の安全配慮義務を負うことになります。

安全配慮義務とは?

安全配慮義務とは、労働者の生命・身体を守るために、適切な作業環境や安全設備の整備を行い、労働者の危険を回避するために配慮する義務を指します。元請と下請の関係においても、元請会社が下請会社の労働者に対して、実質的な指揮監督を行っている場合は、安全配慮義務が発生する可能性があります。

例えば、元請業者の労働者と下請業者の労働者が同じ現場で作業を行っている状況で、元請業者が作業内容を指示し、設備の使用方法や作業手順を管理している場合は、元請業者に安全配慮義務が発生することになります。

労働安全衛生法上の規制

労働安全衛生法では、元請業者に対して以下のような責任を規定しています。

1.安全衛生管理体制の整備

  • 一定規模の事業場においては、総括安全衛生管理者や安全管理者などの責任者を選任する義務があります。
  • 建設業や造船業などの特定元方事業の場合は、元請会社が統括安全衛生責任者を選任し、安全管理を行う必要があります。

2.労働者の危険防止措置

  • 元請会社は、労働者の危険や健康障害を防止するために必要な措置を講じ、関係する下請業者やその労働者に対しても適切な指導を行う義務があります。

3.協議組織の設置

  • 特定元方事業者においては、下請業者を含めた安全衛生の協議組織を設置し、作業の連携や危険防止措置を協議する義務があります。

労基署の対応

労災が発生した場合、労基署は以下のような対応を行います。

  • 災害調査:労災の原因調査、労働安全衛生法違反の有無、二次災害防止の指示を行います。
  • 監督指導:労災発生状況に応じて、企業全体の安全衛生管理体制の是正を指導することもあります。

元請会社としては、労基署の対応に迅速かつ誠実に対応し、再発防止策を講じることが重要です。

弁護士に相談するメリット

労働災害に関する責任問題や対応には専門的な知識が必要です。以下の理由から、弁護士に相談することをお勧めします。

  1. 法的な助言:労働災害における元請・下請の責任の所在や、安全配慮義務に関する法的解釈を提供します。
  2. 労基署対応のサポート:労基署からの調査や指導に適切に対応するための助言を行います。
  3. 損害賠償問題への対応:労災により発生する可能性のある損害賠償請求に対して、適切な対応策を提案します。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災に関する法的サポートを提供しておりますので、お困りの際はぜひご相談ください。

まとめ

労働災害が発生した場合、元請会社は下請会社に対しても安全配慮義務を負うことがあり、労働安全衛生法の規制に基づく対応が求められます。元請会社としては、日頃から労働者の安全を確保するための体制を整え、災害発生時には迅速に適切な対応を行うことが重要です。

労働災害に関するお悩みや、元請会社としての対応に不安がある場合は、ぜひ弁護士法人長瀬総合法律事務所までご相談ください。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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