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労働災害によって後遺障害が残った場合にすべきポイント

はじめに

労働災害によって後遺障害が残った場合、被災者の生活や将来に大きな影響を及ぼします。このような状況では、適切な補償を受けるための手続きや準備が重要です。しかし、多くの方が「何から始めればいいのか」「どのように立証すればいいのか」といった疑問を抱えているのが実情です。本記事では、労働災害による後遺障害が残った場合の具体的な対応ポイントを解説します。

Q&A

Q.労働災害で後遺障害が残った場合、最初にするべきことは何ですか?

A.まずは治療に専念し、症状が固定した後、医師に後遺障害用の診断書を作成してもらうことが重要です。また、早い段階で弁護士に相談することで、適切な補償を受けるための準備が整います。

Q.後遺障害等級が認定されると、どのような補償が受けられますか?

A.等級に応じて、障害年金や一時金などの補償が支給されます。具体的な金額や内容は、後遺障害の等級によって異なります。

労働災害による後遺障害の典型例

労働災害による後遺障害は、職場環境や事故の内容によってさまざまですが、以下のような例が典型的です。

  • 身体的障害:四肢の麻痺、失明、聴力や言語能力の喪失など
  • 神経系の障害:頚椎損傷や脊髄損傷による運動機能の低下
  • 心理的障害:労災によるPTSDやうつ病の発症
  • 内部障害:臓器の機能不全(例:呼吸器や消化器の障害)

これらの後遺障害は、日常生活や就労に多大な影響を及ぼすため、適切な補償を受けることが不可欠です。

後遺障害が残存した場合の手続きの流れ

1.症状固定の判断

治療の結果、「これ以上の回復が見込めない」と医師が判断した時点で「症状固定」となります。

2.後遺障害診断書の作成

医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。この診断書は、労働災害保険に基づく補償を申請する際に必要です。

3.後遺障害等級の申請

労働基準監督署に後遺障害等級の認定を申請します。等級は1級から14級まであり、等級によって補償内容が異なります。

4.異議申立て

申請結果に納得がいかない場合、60日以内に異議申立てを行うことができます。この際、追加資料の提出や専門家の意見書が有効です。

後遺障害の立証上のポイント

後遺障害等級の認定を受けるためには、次のポイントを押さえておく必要があります。

1.医師による詳細な診断

診断書には障害の具体的な状態や影響が明確に記載されている必要があります。不十分な記載は低い等級や不認定の原因となります。

2.客観的な証拠の提示

画像診断(レントゲン、MRIなど)や検査結果を提出し、後遺障害の存在を客観的に証明することが重要です。

3.生活への影響の証明

後遺障害が日常生活や労働能力に与える影響を具体的に示すことが求められます。日常生活状況報告書の提出も有効です。

立証資料の収集方法

後遺障害を立証するための資料を効果的に収集するには、以下の手順を踏みましょう。

  • 医療記録の取得:診断書や治療経過の記録を医療機関から取得します。
  • 事故状況の記録:事故当時の状況を詳細に記録した文書や写真を用意します。
  • 専門家の意見書:必要に応じて、医学的専門家や弁護士による意見書を作成してもらいます。
  • 職場の記録:労災発生時の勤務記録や労働環境の状況を示す資料を収集します。

弁護士に相談するメリット

労働災害による後遺障害が残った場合、専門的な知識が求められる場面が多くあります。弁護士に相談することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 手続きの代行:複雑な書類作成や申請手続きを任せられるため、負担が軽減されます。
  • 補償額の増加:適切な等級認定を受けられるよう支援することで、補償額が適正なものになる可能性が高まります。
  • 異議申立てのサポート:認定結果に不服がある場合、適切な異議申立てを行うための助言や資料収集をサポートします。
  • 交渉の代行:事業主や保険会社との交渉を弁護士が代行し、精神的負担を軽減します。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災事故に関する専門的なサポートを提供しています。災害直後からの相談も可能ですので、ぜひご検討ください。

まとめ

労働災害によって後遺障害が残った場合、適切な補償を受けるためには、早期の準備と適切な手続きが重要です。医師の診断書や客観的な証拠を揃えることで、認定がスムーズに進みます。また、専門家である弁護士に相談することで、複雑な手続きや交渉を円滑に進めることが可能です。

 

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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