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労働災害と障害等級のポイント

Q&A

Q: 労働災害に遭った場合、何から始めればよいのでしょうか?

A: 労働災害(労災)は、仕事中や通勤中の事故や怪我、病気などによって生じるトラブルであり、適切な補償を受けるためには、労災保険の仕組みや「障害等級」の考え方を理解することが大切です。障害等級は、その後の補償額や給付内容を左右する、極めて重要な判断基準となります。多くの方にとって、労災保険手続きや障害等級制度はわかりにくいものです。

このコラムでは、弁護士法人長瀬総合法律事務所が、障害等級の基礎から、給付額の目安、手続きの流れ、さらに弁護士に相談するメリットなどをわかりやすく解説します。

はじめに

本稿では、労働災害における障害等級の基本的な概念や、等級ごとに異なる給付内容、適切な手続きの進め方、そして弁護士に相談することで得られるメリットまで、包括的にご紹介します。冒頭のQ&Aで示した通り、多くの方が「何から始めればいいのか分からない」と感じがちな労災補償制度を、本稿が理解への道しるべとなるよう、丁寧に解説していきます。

労働災害とは何か?

労働災害(労災)とは、労働者が業務上または通勤途中で被った傷病や、死亡事故を指します。例えば、工事現場での転落事故、工場内での機械による負傷、オフィスワーク中の過労による精神疾患など、幅広いケースが想定されます。

労働災害に該当する場合、国が運営する「労災保険制度」に基づき、治療費や休業補償、障害が残った場合の障害補償給付などが行われます。労災保険料は事業主が全額負担するため、労働者は労災発生時に自己負担なく一定の補償を受けられる仕組みです。

しかし、この制度を十分に活用するには、給付の内容や要件、特に障害等級制度の理解が欠かせません。

障害等級とは? 労働能力喪失率と給付額の関係

労災による怪我や病気の後遺症が残った場合、その後遺障害の程度に応じて「障害等級」が定められます。障害等級は、労働能力の喪失率に基づいて決められ、1級から14級までの区分があります。

1級に近づくほど労働能力の喪失率は高くなり、その分、給付額(障害(補償)給付)も増加します。一方、等級が下がるにつれて喪失率は低くなり、給付額も低下します。

障害等級は、被災労働者が将来的にどの程度働けるか、社会復帰可能性はどれほどか、といった観点から判断されます。そのため、適切な等級が認定されることで、被災者は長期的な生活補償を得ることが可能となります。

障害等級ごとの給付内容一覧と解説

以下は、弁護士法人長瀬総合法律事務所が参照した標準的な障害等級別の給付目安です。なお、給付額は「給付基礎日額」を元に算定されます。給付基礎日額とは、被災した労働者の賃金を基準に設定された1日あたりの金額です。

年金給付対象の等級

  • 第1級(労働能力喪失率100%):給付基礎日額×313日分を毎年支給+特別支給金342万円
  • 第2級(同上100%):給付基礎日額×277日分を毎年支給+特別支給金320万円
  • 第3級(同等級):給付基礎日額×245日分を毎年支給+特別支給金300万円

年金給付対象:労働能力喪失率が高い等級

  • 第4級(92%以上):給付基礎日額×213日分を毎年支給+特別支給金264万円
  • 第5級(79%以上):給付基礎日額×184日分を毎年支給+特別支給金225万円
  • 第6級(67%以上):給付基礎日額×156日分を毎年支給+特別支給金192万円
  • 第7級(56%以上):給付基礎日額×131日分を毎年支給+特別支給金159万円

一時金給付対象の等級

  • 第8級(45%以上):給付基礎日額×503日分を1回支給+特別支給金65万円
  • 第9級(35%以上):給付基礎日額×391日分を1回支給+特別支給金50万円
  • 第10級(27%以上):給付基礎日額×302日分を1回支給+特別支給金39万円
  • 第11級(20%以上):給付基礎日額×223日分を1回支給+特別支給金29万円
  • 第12級(14%以上):給付基礎日額×156日分を1回支給+特別支給金20万円
  • 第13級(9%以上):給付基礎日額×101日分を1回支給+特別支給金14万円
  • 第14級(5%以上):給付基礎日額×56日分を1回支給+特別支給金8万円

以上が代表的な目安となります。実際の給付額は個々の事情や認定結果によって異なります。

障害等級認定までの流れとポイント

障害等級の認定は、治療が一段落し「症状固定」となった時点で行われます。症状固定とは、治療を続けても症状が大きく改善しない状態を指します。このタイミングで医師が作成した後遺障害診断書を提出し、労働基準監督署等の行政機関が審査します。

ポイント

  • 正確な診断書の作成
    後遺障害診断書には、傷病名、治療経過、後遺症状の詳細などが明確に記載されていることが重要です。
  • 申請書類の整備
    必要な書類(労災認定申請書、雇用先や医療機関からの書類など)を漏れなく提出すること。
  • スムーズなコミュニケーション
    会社や医療機関、労基署担当者との円滑なやり取りで、手続き遅延や情報不足を避ける。
    これらにより、適正な障害等級認定が期待できます。

弁護士に相談するメリット

適正な補償取得を目指して

労災保険の手続きは複雑で、障害等級の認定結果が生活再建に大きく影響します。そのため、専門家である弁護士に相談することは有効です。

弁護士に相談するメリット
  1. 専門知識によるサポート
    労災・後遺障害に精通した弁護士が、最適な認定等級獲得に向けたアドバイスを提供します。
  2. 交渉力の強化
    保険者や労基署、あるいは事業主側とのやり取りで、被災者側の主張を的確に整理・提案し、交渉力を高めます。
  3. 書類作成・手続き代行
    複雑な書類整理や証拠収集を弁護士が代行することで、被災者は治療やリハビリに集中できます。
  4. 精神的負担軽減
    法的知識や交渉経験を持つ弁護士が支援することで、被災者やそのご家族が不安やストレスを軽減できます。
  5. 受給額の最適化
    不当な等級判定や給付額の過小評価を避け、被災者が本来得られるべき補償を最大限引き出します。

よくある質問と対応策

Q: 等級認定に不満がある場合、どうすればよいですか?

A: 再審査請求や労働保険審査会への不服申立てが可能です。その際は弁護士に相談し、法的手続きの流れを確認しましょう。

Q: 労災保険と自賠責保険は同時に利用できますか?

A: 交通事故による通勤災害の場合、労災保険と自賠責保険の両方が関わることがあります。ただし、その際の調整や手続きは複雑なため、専門家への相談が望まれます。

Q: 等級認定後、将来的に症状が悪化した場合、再評価は可能ですか?

A: 症状の変化によって再度申請できる場合もあります。悪化が認められれば等級の変更や追加給付が生じる可能性があります。

まとめ

本稿では、労働災害における障害等級の基礎知識から、給付額の目安、手続き上のポイント、さらには弁護士に相談するメリットまでを詳細に解説しました。

労災による後遺障害は、被災者の人生を大きく左右します。そのため、情報を集め、専門家と協力しながら、最適な補償を獲得することが不可欠です。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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