• 牛久本部029-875-6812
  • 日立支所0294-33-7494
  • 水戸支所029-291-4111
  • 守谷支所0297-38-5277

営業時間:午前9時〜午後6時(土日祝休)※電話以外のご予約は年中無休24時間受付

TOP 新着情報 介護補償給付の適用範囲

介護補償給付の適用範囲

はじめに

「仕事で重い障害を負い、日常生活で介護が必要になってしまったら、労災保険からどのような補償を受けられるのか?」こうした不安を抱える方は少なくありません。

労災によるケガ・病気の後遺症が極めて重く、日常的に介助や看護を要する状態の場合、労災保険には介護補償給付という制度があります。これは、常時または随時の介護が必要となった被災者や、その家族に対し、介護費用の一部を支給する仕組みです。

この介護補償給付は、障害補償給付や傷病補償年金などのほかの給付と連動しており、支給対象者や支給額の計算方法など、一般にはあまり知られていない複雑なルールが多く含まれます。本稿では、介護補償給付の基本的な制度概要や支給要件、申請手続きなどを解説し、重度障害を負った被災者やそのご家族が適切な補償を受け取れるようポイントを整理します。

Q&A

はじめに、介護補償給付に関してよくある疑問(Q)と回答(A)を簡潔に整理します。詳細は後述の「3 解説」で掘り下げていきます。

Q1. 介護補償給付とは何ですか?

業務上または通勤上のケガや病気によって重度の後遺障害が残り、日常生活で介護が必要な状態になった場合、労災保険が介護費用の一部を負担する給付制度です。障害補償給付(年金)を受給している被災者が該当するケースが多いです。

Q2. どの程度の障害なら介護補償給付が受けられるのでしょう?

原則として、障害補償年金の1級または2級に該当し、日常生活において常時または随時の介護が必要な状態が認められる場合です。具体的な判断は医師の意見書や生活状況の調査などで総合的に行われます。

Q3. 介護費用は全額支給されるのですか?

介護補償給付は上限額や基準額が設定されており、全額が無制限に支給されるわけではありません。常時介護と随時介護でそれぞれ支給額が異なり、被災者が家族の介護を受けるか専門事業者を利用するかによっても金額が変わる仕組みです。

Q4. 障害補償年金を受けていないと介護補償給付はもらえませんか?

介護補償給付の大前提として、障害補償年金1級または2級の支給を受けている必要があります。3級以下の場合や、一時金のみの支給対象だと通常は介護補償給付の適用になりません。

Q5. 会社が協力しなくても申請できますか?

はい。労災保険給付は本人が労働基準監督署へ直接申請でき、会社が非協力的でも進められます。必要書類(医師の意見書など)を揃えて監督署に相談するとスムーズです。

解説

では、介護補償給付の適用範囲や支給要件、金額の計算、申請手続きなどを詳しく見ていきます。

介護補償給付の基本概念

障害補償年金1級または2級が前提
  • 介護補償給付は、障害補償年金を受給している被災者(1級または2級)のうち、日常生活で介護が必要な状態と認められる人が対象。
  • 3級以下の障害等級や、一時金の支給対象だけの人は通常該当しない。
「常時介護」と「随時介護」
  • 常時介護:24時間、常に介護が必要な状態(例:重度の四肢麻痺、言語・意思疎通も困難など)。
  • 随時介護:常時ではないが、食事や排泄、入浴などの生活動作において介助を要する時間がある状態。
  • 常時か随時かで支給額が異なる。

支給要件と支給額

医師の意見・介護実態の評価
  • 介護補償給付を認めるかどうかは、医師の意見書被災者の生活実態調査(家庭訪問など)によって総合判断。
  • 障害の程度や、どの程度の介助をどれくらいの頻度で必要としているかを、監督署が検証する。
家族介護か事業所介護か
  • 介護の実施者が被災者の家族なのか、専門の介護事業所かによって、支給される金額が異なる傾向がある。
  • 専門業者を利用する場合は、介護サービス費用を目安に金額設定されることが多い。
支給額の目安
  • 労災保険法や関連通達で、常時介護随時介護それぞれの上限額が設定されている。

申請手続きの流れ

まずは障害補償年金の確定
  • 介護補償給付を請求する前に、後遺障害が残ったケガや病気について障害補償年金(1級 or 2級)が認定されていることが必要。
  • 症状固定後、障害補償給付支給請求を行い、その認定が確定したら介護補償給付の手続きに進む。
介護補償給付支給請求書
  • 監督署に提出する書類。医師の意見書(どれほど介護が必要か)や、家族がどのように介護しているかの説明資料などを添付する。
  • 会社の協力が得られなくても、被災者本人または家族が直接申請できる。
監督署の審査と支給開始
  • 監督署が「常時介護」または「随時介護」のいずれかを認定し、支給額を決定。
  • 必要に応じて更新や見直し(症状の変化)が行われ、介護の程度が変われば支給額も調整される場合がある。

会社の安全配慮義務と責任

重度障害を負わせる労災事故
  • 会社が安全装置を付けず機械を使わせていた過重労働で重大な病気を発症など、安全配慮義務違反が認められる場合、労災保険だけでなく損害賠償請求の余地がある。
  • 障害が重度で介護が長期化するほど、会社の過失責任が問われる裁判では高額の逸失利益や慰謝料が認められるケースがある。
会社の協力義務
  • 労災事故が発生したら、会社は労働基準監督署への報告書類作成などを速やかに行い、被災者が適切な給付を受けられるよう協力する。
  • 協力を拒否し、隠蔽や虚偽報告を行えば労災隠しとなり、行政処分や刑事罰のリスクが高い。

トラブル事例と注意点

監督署が「介護は不要」と判断
  • 被災者や家族は「介護が必要」と考えていても、監督署が「随時介護ほどでもない」「自立度が高い」と判断し、不支給または低額支給となる場合がある。
  • 異議申立(審査請求・再審査請求)や、医師の追加意見書などで再度主張する余地がある。
介護実態の変化
  • 症状が悪化し、随時介護から常時介護に移行した場合、介護補償給付額を増額申請できるケースがある。
  • 逆に回復すれば支給が減額されることもあり、監督署の再調査が入ることがある。
家族介護と専門業者介護の差
  • 家族介護の場合、専門業者を利用するときほど高額な介護費用は発生しないとみなされ、支給額が低めに設定されやすい。
  • 納得がいかない場合は、他の給付や会社への損害賠償請求も検討して家族の負担を軽減する道を考える。

弁護士に相談するメリット

  1. 後遺障害認定から介護補償給付への移行サポート
    医師の診断書や生活実態を証明する資料などを整理し、監督署での手続きを円滑に進める。会社が非協力的でも弁護士が代理対応。
  2. 支給額や認定区分への異議申立
    「常時介護」「随時介護」の認定が被災者の実態に合わないと思われるとき、弁護士が不服申立をサポートし、正当な給付額を目指す。
  3. 会社への損害賠償請求も視野
    介護が長期化し、家族やヘルパーの負担が大きいなら、会社の安全配慮義務違反を主張して逸失利益・慰謝料を求める示談・裁判を起こすことも検討。弁護士が交渉や訴訟を代理。
  4. 複数制度の併用検討
    介護補償給付以外にも、障害年金(年金機構)など社会保障制度と合わせて、経済的負担を軽減する方法がある。弁護士が全体的にアドバイス可能。
  5. 企業側のリスク管理
    企業が弁護士に相談し、重度障害を負う労災事故が起きないよう労務管理や安全教育を徹底することで、将来的な介護補償給付リスクを低減する予防法務に活かす。

まとめ

介護補償給付は、業務上・通勤上の事故や病気で重度の後遺障害が残り、日常的に介護が必要となる被災者の介護費用を一部補填する労災保険の制度です。

  • 障害補償年金の1級または2級に該当し、常時または随時の介護が必要と認められれば支給対象。
  • 介護実態に応じて支給額が異なり、家族介護専門事業者による介護かで額に差が出る場合がある。
  • 被災者や家族が「十分な介護が必要なのに低い支給額しか認められない」と感じれば、追加書類や医師の意見書を用意して異議申立を行う道がある。

会社が重大な責任を負う労災事故で重度障害が残った際、会社の安全配慮義務違反による損害賠償も検討可能です。特に介護を要するケースでは家族の負担が大きいため、弁護士などに相談しながら労災保険と併用し、最善の補償とサポートを得ることが望ましいと言えます。


リーガルメディアTV|長瀬総合のYouTubeチャンネル

リーガルメディアTVでは、労働災害のほか、様々な分野の動画を公開しています。
ご興味をお持ちの方は、ぜひご覧下さい!

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

 

お問い合わせはお気軽に|初回相談無料

仕事中の怪我・事故の補償に関するお悩みは、長瀬総合法律事務所にご相談ください。
労働災害に詳しい弁護士が、あなたのお悩みを解決いたします。

【メールでのお問い合わせ】

【LINEでのお問い合わせ】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

傷病補償年金と傷病等級

障害補償給付と後遺障害認定

これは労災?賠償金も受け取れる?

まずは労災無料診断

労災無料診断はこちら

お電話での問い合わせはこちら

営業時間:午前9時〜午後6時(土日祝休)
※電話以外のご予約は年中無休24時間受付