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示談交渉の基本的な流れ

はじめに

「業務上の事故でケガをした」
「通勤途中で交通事故に遭った」
「過労死や過労自殺で遺族が会社と話し合いをする」

労災保険(労災)での補償に加え、示談交渉を通じて損害賠償を受け取る場面は少なくありません。示談交渉とは、裁判所を介さずに当事者同士で賠償額や責任の範囲を話し合い、合意で解決を図る手法です。被災者や遺族にとっては迅速に補償を得られる利点がある一方、会社や保険会社と適切に交渉しなければ、本来得られるべき補償を取り逃すリスクもあります。

特に、過労死や過労自殺、第三者行為災害(通勤事故など)では、労災保険からの給付と示談金(賠償金)のバランスや重複が問題になることも。会社や相手保険会社は低い金額で早期解決を狙う場合が多く、交渉力の差によって結果が大きく変わるのが実態です。

本稿では、示談交渉の基本的な流れと心構え、労災保険との調整、そして弁護士に依頼するメリットを包括的に解説します。示談で解決するか裁判に持ち込むかを判断するためにも、まずは示談交渉の要点を押さえておきましょう。

Q&A

はじめに、示談交渉に関してよくある疑問(Q)と回答(A)を簡潔に示します。詳細は「7.3 解説」で取り上げます。

Q1. 示談交渉って、具体的に何をするの?

被災者(または遺族)と会社・保険会社などの相手方が、賠償額や責任割合を話し合いによって決めることです。裁判所を通さず合意できれば示談成立となります。

Q2. 示談で合意すれば、それ以上請求できない?

通常、示談書に「清算条項」や「和解金を受け取ったら、今後の追加請求はしない」といった文言が入ります。示談後の追加請求は原則不可なので、慎重に交渉しなければなりません。

Q3. 労災保険と示談金は重複しないの?

一部重複が発生し得ますが、労災が立て替えた分を相手が後で求償する仕組みや、示談で調整するケースもあります。専門家がいないと二重取り問題で揉めがちです。

Q4. 会社の保険会社と交渉する時、弁護士がいた方がいい?

はい。相手保険会社は示談金を最低限に抑えようとするため、弁護士の交渉力が大きく関わります。被災者側が法律知識なしで対抗するのは不利になる場面が多いです。

Q5. 示談交渉が決裂したらどうする?

不調に終わったら、労働審判民事裁判などの法的手段を検討します。示談の途中で弁護士を依頼して方針転換することも珍しくありません。

解説

ここから、示談交渉の主なステップや注意点を詳しく見ていきます。会社との交渉保険会社との交渉でありがちな問題点と、その対処法も含めて解説します。

示談交渉の主なステップ

事故・過労死などの発生 → 事実確認
  • 被災者(または遺族)が被害状況を把握し、業務上・通勤上の事故なのか、会社や第三者の過失があるのかを確認する。
  • 同時に労災保険申請を進めたり、相手保険会社がある場合は連絡が入ることもある。
証拠収集と損害額算定
  • 残業ログ、診断書、医療費、休業損害など、示談で話し合う材料をそろえる。
  • 過労死なら逸失利益慰謝料をどう算出するか、第三者行為災害なら加害者の過失割合をどう考えるかがポイント。
相手方との交渉開始
  • 被災者側(または代理人の弁護士)が示談交渉を申し入れ、相手保険会社や会社と協議。
  • 責任の有無過失相殺、損害項目(治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料など)を一つずつ話し合う。
示談書の作成・合意
  • 妥協点が決まれば、示談書(和解契約書)を取り交わし、双方が署名捺印して成立。
  • 示談書には清算条項守秘義務などの条項が入り、一旦合意すれば追加請求は不可が原則。
示談不成立 → 調停・裁判へ

話し合いが決裂した場合、労働審判民事裁判を選択。弁護士が訴状や証拠を準備して法的に最終決着を図る。

示談交渉の注意点

二重取り問題(労災保険との関係)
  • 通勤災害や第三者行為災害で労災保険を先行利用した場合、相手保険会社から同じ治療費や休業補償を受け取ると重複支給となる。
  • 実際には労災が求償する仕組みがあり、示談交渉では「労災分」を差し引いた額で調整されることが多い。
過失相殺と責任割合
  • 被災者側にも安全管理不備などの過失があると、示談額が減額される。会社や加害者が過剰に過失相殺を主張してくるケースが多い。
  • 弁護士が客観的な過失割合を主張し、適正な賠償額を確保する。
慰謝料・逸失利益の算定
  • 過労死過労自殺などで遺族が請求する際、故人の年収水準や将来の昇給などを踏まえた逸失利益精神的苦痛への慰謝料が大きな争点。
  • 示談交渉では相手が低額で提案してくることが多く、弁護士が裁判例を参照しつつ上乗せ交渉を行う。
清算条項に要注意
  • 示談書で「本和解で全て解決」とする清算条項を盛り込まれると、後から追加の損害請求が難しくなる。
  • 後遺障害が未確定な場合などは示談を急がず、医師の最終判断を待つべきか検討が必要。

会社や保険会社との交渉例

過労死事案(会社の安全配慮義務違反)
  • 被災者遺族が「長時間労働とハラスメントで家族がうつ病に至り自殺」と主張 → 会社は「本人の健康管理不足」と反論。
  • 弁護士が残業ログやハラスメント証拠を提示し、安全配慮義務違反を立証 → 会社が示談交渉で数千万円〜1億円を提示し和解、という例がある。
通勤途中の交通事故(第三者行為災害)
  • 被災者が労災保険で治療費や休業補償を受けつつ、相手保険会社と示談交渉。
  • 過失割合を巡って対立 → 弁護士が事故状況の客観証拠(ドライブレコーダー、警察の実況見分)を示し、相手保険会社が過失を大きく認め示談金増額に応じる。

弁護士・専門家の役割

実態把握と証拠整理
  • 弁護士が会社の勤務データメールログを要求し、過労死ライン超えを明らかにする。
  • 保険会社が低額示談を提示してきた場合、類似裁判例過去判例を根拠に増額交渉する。
書面作成と交渉代理
  • 弁護士が示談書を作成し、清算条項支払い期日などの文言で依頼者に不利がないかチェック。
  • 会社や保険会社の担当者と法的根拠をもとに交渉するため、短期間で公正な合意を得やすい。
調停・裁判移行も視野

示談が決裂したら、労働審判(労働問題)や民事訴訟へ移る。弁護士が書面・証拠を再構築し、裁判所で最適解を狙う。

示談交渉における心構え

合意前に急がない
  • 相手が「早期解決金を支払うから合意してほしい」と言ってきても、実際には後遺障害や損害が大きい可能性あり。
  • 治療が完了、または症状固定したうえで損害を確定し、弁護士と相談して示談する方が有利。
清算条項は慎重に
  • 示談書の条文に「本和解で一切請求しない」とあれば、後に新たな損害が発覚しても請求不可になることが多い。
  • 安易に合意せず、最終的な治療状況・後遺障害認定を確認してから締結を検討。
弁護士に依頼するタイミング
  • 交渉の序盤でも後半でも依頼可能だが、早期に弁護士へ相談したほうが無駄な時間と失敗を防ぎやすい。
  • 会社が非協力的・相手保険会社が強硬などの場合は速やかに依頼を検討するのが賢明。

弁護士に相談するメリット

  1. 賠償額の適正評価
    弁護士が過去の裁判例や損害項目(治療費、休業損害、後遺障害逸失利益、慰謝料など)を総合し、適正額を算出。相手からの低額提案を看破できる。
  2. 示談書のリーガルチェック
    内容に不利な清算条項や不確定要素がないかを確認し、依頼者が後から損をしないよう整える。
  3. 裁判リスクで有利な交渉を引き出す
    弁護士が代理人につくと、会社や保険会社は裁判リスクを認識し、示談での譲歩をする場合が多い。依頼者が受け取れる金額が大幅に増える可能性がある。
  4. 労災保険との調整を適切に行う
    第三者行為災害などで重複受給に注意しながら、最適な受給形態を提案。二重取りの混乱を回避し、依頼者のメリットを最大化。
  5. 精神的負担の軽減
    会社や保険会社との直接交渉は苦痛が大きい。弁護士が窓口となり、依頼者は治療生活再建に集中できる。

まとめ

労災保険における過労死・過労自殺第三者行為災害などの事故では、示談交渉を通じた損害賠償請求が大きなテーマとなります。示談交渉の基本的な流れは、

  1. 事実把握・損害額算定
  2. 相手保険会社や会社との交渉
  3. 示談書の作成・合意
  4. 不調なら裁判

というステップですが、

  • 会社が責任を認めない相手保険会社が低い金額を提示する
  • 労災保険との調整で二重取り問題がややこしい
  • ハラスメントやサービス残業の事実を隠されがち

といった事態が起きやすく、専門家(弁護士)の協力を得るか否かで結果が大きく左右されます。示談は一度合意すれば追加請求が難しいため、熟慮したうえで交渉しなければなりません。

適正額を提示してもらえなかったり、会社・保険会社の対応に疑問がある場合は、弁護士法人長瀬総合法律事務所などにお早めにご相談することをご検討ください。労災保険民事賠償の両輪で補償を確保し、過労死・労災被害からの生活再建を実現するためにも、示談交渉の基本的な流れ注意点をよく理解しておきましょう。


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この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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