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労災の認定基準と適切な認定を受けるための留意点

はじめに

働く人々の安全を守る労働災害保険(労災保険)は、業務中や通勤中に生じた怪我や病気、死亡などに対して医療費や休業補償などを提供する制度です。しかし、労災として認められるには一定の基準があり、すべての事故や病気が労災として認定されるわけではありません。本記事では、労災の認定基準や適切な認定を受けるための留意点、さらに弁護士に相談するメリットについて解説します。これから労災の申請を考えている方や労災認定について知りたい方のご参考になれば幸いです。

Q&A

Q1:労災の認定基準とはどのようなものですか?

A1:労災の認定基準は、労働災害が業務に関連しているかどうかを判断する条件です。具体的には、業務中または通勤中に発生した事故や病気であること、さらに業務が原因であることが求められます。

Q2:労災認定を受けるとどのようなメリットがありますか?

A2:労災認定を受けることで治療費の負担がなくなり、休業補償が受けられます。また、療養中の解雇が法律で制限されるため、安心して治療に専念できます。

Q3:労災認定がされるには何が必要ですか?

A3:労災認定のためには、業務との因果関係を証明する証拠が重要です。具体的には、労働基準監督署に提出する診断書や事故報告書など、事故や病気が業務に関連していることを証明する書類が求められます。

労災の認定基準とは

労災には大きく「業務災害」と「通勤災害」の2種類があり、それぞれ異なる認定基準が設けられています。

1.業務災害の認定基準

業務災害とは、仕事中に発生した事故や病気が労災として認定されるかどうかを判断するための基準です。認定には以下の2つが要件となります。

  • 業務遂行性:従業員が労働契約に基づき業務を遂行している状況で発生した事故や病気であること。
  • 業務起因性:怪我や病気が業務が原因で発生したものであること。

例えば、建設現場で作業中に発生した事故や、製造業に従事する従業員が業務中に重機に挟まれて怪我をした場合は、これらの基準を満たして労災として認定されることが一般的です。また、パワハラや長時間労働によって精神障害を発症したケースも、業務起因性が認められる場合に労災が認定されます。

2.通勤災害の認定基準

通勤災害は、従業員が住居と就業場所の間を往復する際に発生した事故や病気が労災として認められるケースです。主な要件は以下の通りです。

  • 合理的な経路・方法で通勤していること:通勤において通常と異なる経路や方法をとった場合、その間に発生した事故は労災として認められない可能性があります。ただし、日用品の購入や医療機関の受診など、必要な用事で経路を変更した場合は認定される場合もあります。

通勤途中の交通事故などが典型的な例であり、合理的な経路をとっている場合に労災として認められます。

労災の適切な認定を受けるための留意点

労災認定を受けるためには、事故や病気が業務や通勤に起因するものであることを証明することが必要です。以下のポイントを押さえると、適切な認定を受けやすくなります。

1.事故発生直後に状況を記録する

事故や病気が発生した場合、できるだけ早く状況を記録しましょう。例えば、事故の詳細な内容や発生日時、現場の状況、目撃者がいる場合は証言も残しておくことが重要です。特に精神的な障害の場合、職場でのストレス要因について日常的にメモを取っておくことが、後の労災認定に役立ちます。

2.医療機関での診断書を取得する

労災認定を受ける際、医師の診断書は重要な証拠となります。病気や怪我が業務に関連していると明示された診断書を提出することで、認定される可能性が高まります。特に精神的な障害の場合は、発症の原因が業務にあるとする専門医の診断書が強力な証拠となります。

3.労働基準監督署に正確な情報を提出する

労災認定の審査を行うのは労働基準監督署です。労働基準監督署に提出する書類には、事故や病気が業務または通勤に起因するものであることを示す事実を正確に記載しましょう。万が一記入に不備があると、審査が遅延したり認定が見送られる可能性もあります。

4.過重労働やハラスメントの証拠を収集する

長時間労働やパワハラが原因で発症した精神的な病気の場合、証拠が特に重要です。タイムカードやメールの履歴、また同僚からの証言などを集めておくと、労災認定がスムーズに進みやすくなります。

弁護士に相談するメリット

労災の適切な認定を受けるためには、法的な知識と証拠の整理が欠かせません。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、労災に関する専門知識を持つ弁護士がサポートいたします。弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます。

  1. 適切な申請書類の作成サポート
    労災認定には複雑な申請書類が必要です。経験豊富な弁護士が必要な情報を整理し、労働基準監督署に提出する適切な書類を作成します。
  2. 証拠収集のアドバイス
    労災認定には業務起因性の証明が必要です。弁護士は、どのような証拠が認定に有効かをアドバイスし、証拠を適切に揃えるお手伝いをいたします。
  3. 企業との交渉や裁判のサポート
    労災が認められなかった場合や、企業との意見が食い違う場合、弁護士が交渉や裁判をサポートします。労災問題を解決するための専門的なアプローチにより、安心して進められます。

まとめ

労災認定を受けるためには、業務遂行性や業務起因性、合理的な通勤経路であることが重要なポイントです。事故が発生した場合には、できる限り証拠を集め、適切な対応を取ることが求められます。また、労災認定の手続きは複雑であるため、専門知識を持つ弁護士のサポートを受けることが、スムーズな解決につながります。

労災に関するお悩みは、弁護士法人長瀬総合法律事務所までご相談ください。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

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