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労災後遺障害認定の手続とは

Q&A

Q: 労災で負った怪我や病気が治りきらず、「後遺障害」が残ってしまった場合、どのような手続きや準備が必要なのでしょうか?

A: 後遺障害等級の認定には、正確な診断書の作成や十分な事前準備、必要書類の提出、さらには労働基準監督署での面談対応など、多くのステップが存在します。本記事では、後遺障害認定までの流れ、適正な等級取得のためのポイント、弁護士に依頼するメリットなどを解説します。

はじめに

労働災害(労災)において、怪我や病気は適切な治療を受けることで多くの場合改善します。しかし、中には治療を続けても「これ以上の回復は見込めない」という状態、すなわち「症状固定」を迎え、痛みやしびれ、可動域制限などの後遺障害が残るケースがあります。後遺障害が認定されるか否か、そしてその等級がどれくらいかによって、受け取れる給付(年金・一時金)の額や会社への損害賠償請求の金額に大きな差が出てきます。

本記事は、後遺障害認定手続きの全容、認定等級による差異、申請時の注意点、そして弁護士に相談・依頼することで得られるメリットを解説します。これから労災の後遺障害認定に臨む方々が、適正な認定を受け、十分な補償を獲得する一助となれば幸いです。

全体のまとめ

  • 後遺障害とは?
    治療を続けても完全には治らず、痛みや可動域制限などが残った状態
  • 症状固定と「治ゆ」
    労災では「症状固定」のことを「治ゆ」と呼び、これ以上改善しないと医師が判断した日が「治ゆ日」
  • 後遺障害認定の重要性
    等級によって支給される年金・一時金の額が大きく変わる
  • 必要な準備
    診断書・自己申立書・面談対応など、申請前から入念な準備が必要
  • 弁護士活用のメリット
    認定等級の向上や正確な診断書作成へのアドバイスなど、専門知識によるサポートが可能
  • 手続きの流れ
    主治医による労災用診断書作成、労働基準監督署への提出、面談、結果通知までのプロセス
  • 損害賠償請求への影響
    適切な後遺障害等級の取得は、会社に対する賠償請求額にも大きく影響する

後遺障害とは何か?

後遺障害とは、労災による怪我や病気が十分に治らず、治療を続けても状態が改善しないまま残った機能障害や痛み、可動域制限などを指します。一般的な治療ではこれ以上良くならない状態が、「症状固定」と医師に判断されると、その後は「後遺障害」の有無や程度を労働基準監督署が判断します。

労災では症状固定を「治ゆ」と呼びますが、あくまでこれ以上改善しないため、治療を打ち切る基準点としての「治ゆ日」です。

「症状固定(治ゆ)」と後遺障害認定までの流れ

  1. 症状固定の判断
    主治医が「これ以上良くならない」と診断する時点で症状固定となります。労災手続き上は「治ゆ日」とされるこの日に、後遺障害の有無を客観的に判定するための書類準備が始まります。
  2. 診断書作成の依頼
    症状固定後、労災用の診断書(業務災害は様式第10号、通勤災害は様式第16号の7)を主治医に作成してもらいます。診断書は後遺障害等級認定の根拠資料となるため、極めて重要です。
  3. 自己申立書などの準備
    被災者本人が作成する自己申立書は、日常生活や仕事上の不便さ、痛みの頻度と強度など、定量化しづらい情報を補足します。
  4. 労働基準監督署へ申請
    診断書、自己申立書、請求書類一式を労働基準監督署へ提出。必要に応じて労働基準監督署の担当者や医師等から面談や確認が行われます。
  5. 結果通知・給付開始
    面談後しばらくしてから認定結果が届き、該当等級に応じて年金または一時金が支給されます。結果通知前に給付金が振り込まれることもあります。

後遺障害等級の仕組みと年金・一時金の支給額の違い

後遺障害は1級~14級まであり、1級が最も重い後遺障害、14級が最も軽い後遺障害です。等級によって、以下のような違いがあります。

  • 1級~7級:原則として障害(補償)年金が支給
  • 8級~14級:障害(補償)一時金が支給

年金は継続的に支給され、一時金は一回限りの支給です。等級が1つ上がるだけで、数十万円以上の違いが出ることも珍しくありません。

また、会社に対する損害賠償請求においても、後遺障害等級に応じて慰謝料や逸失利益が大きく変わるため、適正な等級取得は将来を左右する重要な要素です。

後遺障害認定の手続き:診断書・自己申立書・面談対応のポイント

診断書作成の重要性

主治医は治療の専門家であっても、後遺障害認定の専門家ではありません。診断書に必要事項が正しく記載されないと、適正な等級を得られない可能性があります。例えば、可動域制限の角度や、しびれの有無・範囲、レントゲンやMRIといった画像所見など、後遺障害認定において重要な情報が漏れなく反映されるよう、主治医に正確な記載を依頼することが肝心です。

自己申立書のコツ

「痛みはたまにある」など曖昧な表現ではなく、「週3~4回、就業中に腰部痛があり、立ち上がり時に5~10分程度動きが制限される」など、定量的・具体的な記載が望まれます。また、この書面は後々会社側も閲覧する可能性があるため、実情より軽く書いてしまうと、損害賠償請求時に不利な立場に立たされることがあります。

労働基準監督署での面談対応

実際の可動域や痛みの程度を測定する面談が行われる場合があります。事前にどのような検査をするのか、どこに注意すべきかを理解しておくと、緊張や不安を減らして正確な状態を伝えやすくなります。

適正な後遺障害等級取得のための戦略的な準備

  1. 想定される等級の事前判断
    症状や傷病名から、見込まれる後遺障害等級をあらかじめ想定し、その等級認定に必要な検査や書類を整えます。
  2. 誤記修正の重要性
    可動域の角度の誤記、後遺障害部位の記載漏れ、ストレスレントゲンの不足など、細かな不備が大きな違いを生むことがあります。診断書は一度完成すると医師が訂正に難色を示す場合があるため、提出前によく確認しましょう。
  3. 情報収集・証拠保全
    後遺障害認定は一見、定められた法令や規定で決まるように思えますが、その前提になる医証(医師の書類)や申立内容は柔軟に工夫ができます。複数の視点から問題点を洗い出し、必要な検査や医師への質問事項を用意することで、より正確な資料を整えることが期待できます。

弁護士に相談するメリット

後遺障害認定を有利に進めるには、法令・実務慣行・医療知識など、多角的な専門知識が求められます。ここで弁護士を活用するメリットを整理します。

適正な等級取得へのサポート

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、過去の事例や認定基準を踏まえて「どの等級を目指せるか」を分析します。必要な検査や診断書への記載内容を具体的に医師へ依頼する際のアドバイスを行い、適切な後遺障害等級取得をサポートします。

書類作成サポート

自己申立書の記載ポイントや、面談時の注意点など、被災者が押さえるべき細かなノウハウを提供します。弁護士がサポートすることで、記載漏れや表現の曖昧さを最小限に抑え、認定を有利に進めます。

会社への損害賠償請求

後遺障害等級が確定すれば、将来の逸失利益や慰謝料など、会社に対する損害賠償請求が現実味を帯びてきます。弁護士は適正な賠償額を算定し、交渉や訴訟において法的に有利な立場を築くことができます。

精神的負担の軽減

労災手続きや会社との交渉は、被災者にとって大きなストレスです。弁護士に相談することで、法律面での不安を軽減し、治療やリハビリに専念できる環境を整えます。

まとめ

労災で後遺障害が残った場合、適正な認定を受けるためには、主治医への診断書依頼、書類の整備、労働基準監督署での面談対応など、細心の注意と専門的なノウハウが求められます。特に後遺障害等級は、後々の補償金や損害賠償請求にも大きく影響するため、慎重に手続きを進めなければなりません。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、後遺障害認定の戦略的アドバイスや、医師への的確な依頼方法、自己申立書の作成、損害賠償請求までをサポートしています。困ったときや不安があるときは、ぜひ専門家にご相談ください。

動画のご紹介

労災でお悩みの方に向けて、労災に関する解説動画を公開しています。ぜひご視聴ください。

【労働災害の動画のプレイリストはこちら】

この記事を書いた人

⻑瀬 佑志

⻑瀬 佑志

弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。約150社の企業と顧問契約を締結し、労務管理、債権管理、情報管理、会社管理等、企業法務案件を扱っている。著書『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)、『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践しているビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)ほか。

労働災害に関する弁護士法人長瀬総合法律事務所の理念

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